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第2章第10話
暁side
撮影当日、僕は着替える事なく
楽屋に待機をしていた。
「暁、本当に連絡入れなくて大丈夫?」
司らしくない台詞………。
僕がそうさせてる?
だけど────、
僕はくるっと椅子ごと回る。
僕が真剣な眼差しを向けると
司は少し固い表情を見せた。
「司?これは仕事だよ、
そんなの司が1番分かってるよね?」
「ごめん────」
心配してくれてるのは重々承知。
でも私情挟んだらやってけないのは
司から教わったんだよ?
「僕は大丈夫だから
心配しなくていいよ」
司は反省した表情で口を抑えた。
正直大和はきっと
面白くないと思ってる。
でもね────、
今は逆に連絡を取らないと決めた。
割り切っていると言っても、
やっぱり心が揺れてしまうから。
僕にしたら恋も誰かと
仕事する事も初めて。
経験値なしの未知な世界。
だからね、本当は物凄く
不安なんだよ……。
ただそれを口にしたら
僕は弱くなるから
今は誰にも言わないんだ。
ごめんね……大和。
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