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第2章第16話

撮影が終わり逢坂に言われて 俺は1人楽屋へと戻った。 シーンと静まり返る楽屋。 俺は鏡の前に座ると溜息を吐く。 最後のアドリブは褒めらたが、 結果はどうなのか────。 もう一度溜息を吐きかけた瞬間 コンコンとドアのノック音がした。 俺は表情を作り直して ドアを開けるとスルリと 入って来たのは 女の子のままの暁だった。 「あ、暁……?」 「し───」 驚いて慌てふためく俺に対し 暁は冷静な対応で静止させる。 当然こんなところを 誰かに見られたら不味いわけで。 「あ、暁………まずいんじゃ」 小声で建前を言うが、 内心は久しぶりに二人きりで 舞い上がりそうな俺。 スタジオにはまだ沢山のスッタフ がいると思うと、いけない事を している気分になる。 しかも女の子のまま────。 俺はごくりと生唾を飲む。 瞬間、暁はカチャと楽屋入口の 鍵を閉めると有無言わさず、 フワッと俺の首に腕を回し 抱きついてきた。 え、え────────!?

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