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第2章第61話

暁side  撮影が順調に進んで暫し休憩。そんな中、大和からメッセージが届いた。僕はビックリしてスマホを落としかけたけどなんとかセーフ。一人でワタワタしているので何人かのスタッフに笑われてしまった。恥ずかしい。 「暁なにしてるの?」  司の声にハッとする。いや何と言われてもただメッセージが来ただけなんですけど……。 「大和からメール」  僕は他には聞こえない小さな声で言うと、司はなるほどと頷いた。 「連絡来たの久しぶり?」 「うん」  司はそうかと答えると横で頷いてる。僕はメッセージを返すと暫く返事はなかった。今頃何をしている? 今日は休みなのかな? とか色々考えてしまう。ちゃんと連絡しなきゃそう思っているのに今日まで来てしまった。 「AKIちゃんメイク直させてね」 「あ、はい」  僕はスマホをしまうとメイクさんが顔を直してくれる。当然ここにいるのは司だけじゃない訳で、ヘアーメイクさんはじめ色んなスタッフが行き来する。 「AKIちゃんてメイク上手いわよね?」 「そうですか?」  女性メイクさんとの他愛ないやりとり。でも意外とこれが大事だったりする。 「上手いわよ、みんなメイクさんにしてもらうのにAKIちゃんはちゃんと自分でやるじゃない?」 「まあそうですけど」  するとメイクさんは凄いよねなんて話しながら、綺麗にメイク直ししてくれ髪も整えてくれた。 「AKIちゃんそろそろいいかな?」  カメラマンさんの指示に僕は、はいと返事をして羽織っていたものを司に渡しカメラの前に立つ。 「リラックスして好きに動いてみて」 「はい」  この時スタジオ内の視線は全て僕に集まる。緊張しなくなったのはいつからか。その中には当然、神崎さんの視線もある訳で。なんとなく緊張してしまいそうになる。僕はふーと深呼吸をして自分ではない自分を演じる。 「いいね、もっとちょうだい」  カメラマンの声に僕は応えていく。僕にはカメラとカメラマンの声しかもう見えないし聞こえない。スタジオは割と静かだけど人の気配はどうしても拭えない。  それでも集中してしまえば全く気にならなくなる。たとえそれが司でも僕の視線には入ってこない。 「もう少し大人の表情くれる?」  僕はカメラマンの指示だけを訊いて表情を変えていく。 「いいね」  ちゃんと表情が作れている大丈夫。内心そんな事考えている。カメラマンがどんなものを求めているのか。 どんなポージングを決めれば納得してもらえるのか。冷静に先回りしなくてはいけない。 「OKいいよ」  僕は何百とフラッシュを浴びようやくOKをもらった。 「お疲れ」  司は僕にストールを羽織らせるとお茶をくれる。僕は用意された椅子に座った。さすがに撮影中は神崎さんも寄って来ない。正直何を話せばいいのか分からない。付き合っている人はいるの? あの質問に僕は少々戸惑った。まさかいますとは答えられないし、司が呼んでくれて助かった。お茶を飲んで一息吐いていると着信。僕はスマホを見ると大和からだった。僕は有難うとだけ返し、また撮影に戻った。

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