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第2章第69話

暁side  帰宅してからいつの間にか眠ってしまったようで目が覚めた時には夜十時を回っていた。いけないご飯をお風呂もまだだ。スマホで時間を確認すると着信履歴が残っていた。 「誰だろう」  僕はスマホを手に取り確認すると大和からの着信だと分かった。どうしようお風呂もご飯もしないと明日の撮影に響く。僕は電話を掛けたい衝動をぐっと抑え、お風呂を溜める。シャワーだけでも良かったけど疲れている身体にはやっぱり入浴しなくちゃ。 「ごめんね大和」  僕はお風呂が溜まるのを待って、お風呂へと足を運ぶ。早々に入浴を終え、夕食を頼んで僕は一息。電話をかけようか迷ったけど明日も朝が早い事もあってその日は電話をしなかった。  夕飯も早めに食し僕はベッドへ転がる。なんだかんだと潜り込んだ時刻は十二時になっていた。明日は朝五時には起きないといけない。僕は布団に包まり眠りについた。  翌日アラームの音で目を覚ます。布団の中でウダウダしながらアラームを切り閉じかけている目を瞑った。二度寝は気持ちが良くて僕は直ぐに夢の中。スース―と寝息を立てて気持ち良く寝ていると、ドアのノック音。僕はそれすら気づかず眠っていた。 「暁、暁起きて」  司の声に僕は寝ぼけ眼で布団から顔を出す。あれ司どうやって部屋に入って来たんだろうか? 「鍵もかけないで寝ていたら駄目だよ」  昨日は疲れて帰ってきて鍵を掛けるのをすっかり忘れていたようで、僕はようやく起き上がる。 「大丈夫? 疲れている?」 「少し」  僕はそう言って布団から出ると時刻は五時半。ヤバい、そう思って慌てて用意を始めると司は心配そうに僕を見ている。 「ちゃんと寝れたの?」  洗面台で顔を洗う僕に司が訊いてくる。僕は返事をして歯磨きをする。遅刻なんてしたくない。急いで僕は準備するとようやく司の顔をまともに見れた。 「暁がこんなに慌てて支度するなんて珍しいね。疲れてるんじゃない?」 「大丈夫」  今日はスタジオ撮影、夜遅くまで続く撮影なのに疲れたとか言っていられないよ。僕は支度し終わると司に今日の予定を訊く。 「今日は一日スタジオ撮影、天辺超すかもよ」  天辺とは夜十二時を回る事。少々疲れはあるけど気合い入れないと駄目かも。僕ははいと返事をし司と共にスタジオに向かう。ホテルから車で十分程の所にあるスタジオに着くと、既にスタッフたちが準備を始めていた。 「おはようございます。今日も宜しくお願いします」  僕はスタジオに顔出し挨拶だけすると控室に足を運んだ。今日は何パターンもの衣装が用意されており天辺は間違いなくいくだろうと心の中で思った。 「暁、今日はこの衣装からね」 「はい」  僕はいつも通り衣装チェックをしてか鏡の前に陣取る。何度も衣装を確認した後、僕はメイクを始めた。するとドアのノック音。司が返事をし対応する。 「神崎君」 「ご挨拶だけさせて頂こうと思いまいして」  入り口のやりとりを訊きつつ僕はベースメイクを塗り終る。 「暁、神崎君」  メイクの途中でとも思ったけど無視も出来ないので僕はその場に立った。 「メイク中ですみません、今日は宜しくお願いします」 「俺の方こそ宜しくお願いします。なるべく足を引っ張らないようにしますので」  僕等はお互いに頭を下げ挨拶を終えると、神崎さんは邪魔になるといけないからと早々に控室を後にした。僕は再び鏡の前に座るとメイクを施していく。完成に近づくと心臓がドキンと鳴った。緊張かな……。メイクを終え衣装に着替えた後、ウイッグを付けて完成。 「暁、大丈夫?」 「大丈夫」  司のチェックを受けOKが出たところで僕はスタジオに向かった。

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