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第2章第34話

朝、日の光で目を覚ますと、 既に十時を回っている。 こんなにゆっくり寝たのはいつ以来? 僕は小さなあくびをして 目の前の顔に視線を向けると、 大和はまだ夢の中にいる。 僕は穏やかな寝顔を見つめながら 曇りそうな表情を必死に抑えると、 大和がピクリと反応した。 「ん……」 「おはよう大和」 僕は気づかれないように平静を装う。 「おはよう暁」 大和はそう言って キスを落とすと上機嫌。 「くすぐったいよ」 「ごめん。つい……、 あれ?暁、目腫れてない?」 大和が僕の顔を覗き込んだ瞬間だった。 内心ドキッとして僕は息を飲む。 「そうかな?……多分、久しぶりに よく寝たから浮腫んでいるのかも」 咄嗟に出た言葉。大和は大丈夫? なんていいながらも 深くは追及して来なかった。 僕は内心ホッとする。 泣いたなんて知れたら きっと大和は大騒ぎ。 本当は話さないといけない……。 分かっていても今は 言葉にする勇気がなくて、 嘘の自分で塗り固めていく。 「暁?……暁?」 いけない。ちゃんとしなきゃ。 「大丈夫?具合悪い?」 心配そうな顔……ごめん大和。 「うん、大丈夫」 僕がにっこり微笑むと大和は ギュッと抱きしめて話をする。 「暁に話したい事が沢山あるんだ」 久しぶりの二人の時間。 訊かなきゃいけない話は 沢山ある。だから今は 大好きな人の声に耳を傾けよう。

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