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第1章第13話
大和side
個室から出たのは10分以上経ってから。
俺は蛇口を捻り水で顔を洗う。
鏡に映し出された顔は酷く情けない。
男…………。
そう分かってもこの身体は反応した。
中々熱が引かず10分も籠った。
もう認めるしかない…………。
俺はAKIに惚れてる。
例えそれが男でも。
出っぱなしの水をようやく止め
ハンカチで顔を拭う。
その時────トイレのドアが開いた。
「あ、九条さん……大丈夫ですか?」
現れたのはAKI。
綺麗な顔は心配そうな
表情を浮かべていた。
さっきは余裕なくて
顔しか分からなかったけど
柔らかそうな栗色の髪、
想像以上に小さな顔。
体型は雑誌を見ても分かるが
目の前にすると線は細く華奢で、
その細さは男と言うより女に近い。
「九条さん?」
あ、そうだった。
初対面なのにそんな顔……。
優しいんだ。
今すぐにでも抱きしめたい。
そんな感情を必死に押し殺し
「大丈夫……です」
やっと振り絞った声は緊張で震えた。
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