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第1章第14話

AKIと部屋に戻ると 広瀬さんがこちらを向いた。 「大丈夫?具合悪い?」 「大丈夫です」 俺は2人が座る前に 腰を下ろしゆっくり一呼吸。 「あの……スカウトの件ですけど」 まだ僅かに声が上擦るか…? でももう決めたんだ。 俺はAKIの側にいたい。 どんな形でも────。 「気持ち決まったの?」 「……はい、やらせてください」 広瀬さんはきっちり 締めていたネクタイを緩め 「そう良かった、じゃあ そう言う方向で話を進めるね」 そう言うとニッコリ微笑んだ。 「はい、お願い致します」 俺がその場で立ち上がり頭を下げると 黙って広瀬さんの隣に座っていた AKIも立ち上がり俺の前に 細い手を差し出した。 「………?」 「宜しくね?」 ニッコリ微笑みかけられ 俺の心臓はドクンと高鳴る。 少し躊躇いがちに手に触れた。 温かい……。 軽く握手し俺から離れていく。 もっと触れたい────もっと────。 「九条君」 「あ、はい」 余韻に浸りたいが今は駄目だ。 「一つだけ九条君は未成年だから 契約には親の同意が 必要なんだ話せる?」 同意か……。いや説得するしかない。 なにがなんでも。 「はい……日本にはいないので 電話して話してみます」 「そう分かった、 あ、AKIお前打ち合わせ」 「いけない忘れてた」 慌てた様子で立ち上がると 「また会えるの楽しみにしてます」 振り向きざまに満面の 笑みを浮かべそう言った。 ドクンドクン──── あっ……まただ。 やっぱり……俺は……君が好き。

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