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第2章第37話

暁side はぁ......もう少し大和といたい。 そんな思いはただの我儘だって 分かっているのになんだか最近、 大好きだったはずの仕事が憂鬱。 「......き? 暁」 鏡の前、僕を呼ぶ声に思わずハッとする。 「どうした?」 いけない、これじゃあまた 司を心配させてしまう。 「ごめん、ボーッとしてた」 僕は笑いながらウィッグを外し、 髪を整え、メイクを落とす。 「......なあ、暁。俺に 何か言うことないか?」 司が言った言うこと。その意味は 分かっていた。でも僕はわざと誤魔化す。 「あ、オーディションの結果まだ?」 勿論そっちも気になるのは事実。 「オーディション......? 明日には 出ると思うけど......暁それより」 「そっか早く知りたいな」 「............」 司の言葉を遮る。その意味 たぶん司は知ってる。 いつもなら流すはず、 踏み込んで欲しくないという 僕の意思。でも今日は違った。 「暁、話したくないのは分かるよ…...。 でも、それじゃあ駄目なのは暁が 一番分かっているよね?」 「............」 なんで今日は許してくれないかな。 まだ何も覚悟出来ていないのに。 「大和君にはまだ話してないんだろ?」 「......話してない」 僕のおちゃらけた態度は 一瞬で消える。 話さないといけない。 でも──、 「暁」 まだメイクも落としきれていない 中途半端な僕の顔。 司はお構い無しに クルリと椅子を回転させ 真剣な眼差しで僕に向き合う。 逃げたい......だけど それは許されないと感じた。 「これからの事、ちゃんと話さないと。 俺には責任がある。暁だけが 不安になるのは違うだろ? 大和君にもきちんと話さないといけない」 「分かってる......分かってるよ」 言われなくても......誰より分かっている。 ただ向き合うのが怖かった。 もう少しだけ時間が欲しかった。 それじゃ駄目なの?

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