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第1章第36話

館内が明るくなり 密着していた身体が離れていく。 俺は一体どんな顔をしてるのか 自分でも分からないまま 唖然と暁に視線を向けると、 暁は気恥しげに白い肌を赤く染め、 視線を僅かに外した。 な、何その反応……。 「あ……き?」 ホラーが良いと言うからそれに乗ったのに、 中盤からは俺にしがみついて まるで観ていなかった。 もしかしてホラー苦手?いやいや、 ならどうしてこれがいいと誘った? 駄目だ!どうしても分からない。 ぐるぐるしている俺を他所に、 暁はスタスタと館内を出ていく。 「え?……ちょっと」 俺は慌てて暁の後を追いかけ 日の暮れ始めた外に出た。 2時間ちょっと椅子に座って疲れたのか 暁は腕を上げ背伸びをする。 「ねぇ、暁?」 暁はそのまま深呼吸するとこちらを向き 「ごめんね」 そう言って笑顔でベロっと舌を見せた。 これは────どう言う事? 俺はからかわれているのだろうか?

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