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第1章第37話
「あの、暁どう言う……つもり?」
勇気を振り絞り言葉にする。
多分俺の顔は笑ってない。
元々愛想が良い方じゃないし
答えによっては立ち直れない。
「それは……」
暁が少しの間を置き口を開いた瞬間
どこからかバイブ音が鳴る。
「あ、ごめんね電話」
マジか……!恐らく映画を観るために
音を消したのだろうが意味がない。
暁は俺から少し離れ電話に出る。
はぁ……俺っていつも大事な事
訊きそびれてる気がする。
数分のやりとりの後、
暁は電話を切り
俺の元へ駆け寄る。
「ごめんね司から……
戻らないと行けないんだ」
やっぱりこの展開……。
楽しい時間はお終いか……。
「分かった送ろうか?事務所でしょ?」
多分仕事があるのだろ……。
それでも俺に付き合ってくれた訳だし
そう思って俺は
無理矢理自分に言い聞かせるが
後少し側にいたくて送る事を口実にする。
だけど────、
「大丈夫タクシーで行くから
今日は楽しかった、また誘ってね」
その提案はあっさり断られた……。
だけど……次を期待していいのだろうか?
せめて連絡先くらい……そう思って
「連絡先……教えてくれない?」
あ、そうだねなんて言いながら
ふるふるで互いのえSNSを送り合う。
「じゃあ連絡するね」
まあ番号訊けたし
映画も観れた……しかも抱きつかれた……。
その意味を知りたかったが、
これ以上欲張ったたらダメだね。
そう考えて
「じゃあ気をつけて……」
不器用に笑顔を作ると
暁はまたね、そう言って────
「!」
俺に顔を近づけたかと思えば
暁の柔らかな唇が俺の頬に触れた。
へ………………?
あまりに一瞬だった。
気がつけば暁は手を振りながら
その場を後にする。
何?触れた頬に手をやり
俺は唖然と立ち尽くした。
やっぱり俺、からかわれてる?
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