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第1章第38話
暁side
あれから打ち合わせにギリギリ間に合い
終わったのが0時過ぎ。
僕は疲れた顔をし
司が運転する車の後部座席に座る。
「で?ぎりぎりまで
どこに行ってたんだ?」
「ん~映画」
チラリとミラー越しに僕を見て
司の視線は再び前を向く。
「映画ね~何見たんだ?」
明らかに興味津々と言った
感じにニヤリと笑う。
「ホラー」
「はぁ?」
僕は堪らず耳を塞ぐ。
それぐらい司の声は車中に響いた。
「そんな声出さなくても」
ちょうど赤信号で引っかかると
司はこちらを向いて
「なんでホラー?お前嫌いだろうが」
僕は車に積んである、
枕替わりのクッションを
抱き抱え少し顔を赤らめ
「だって……抱きついて
みたかったんだもん」
「なるほどね、
映画を餌にしがみついたのか」
ムッ、なんか言い方に刺がある。
「別にいいじゃん!」
「で?抱きしめてもらえたか?」
司は僕の顔をミラー越しに見て
笑いを堪えながら口を開く。
「一方通行」
僕の一言に司はとうとう笑いだし
「緊張してたんだよ」
笑いながら言われても
反応がなくて少々寂しかった
僕の気持ちは余計傷つく。
抱きしめてくれると
期待しての事だったから余計だ。
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