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第1章第39話

ちょっと落ち込んで見せると さっきまで声を出して笑っていた 司も大人しくなり 「いきなりでビックリしただけだろ? 彼、好きな子には奥手そうだし」 「そうなのかな?」 「そうだよきっと」 だと良いけど……。 クッションをギュッと抱きしめ顔を埋める。 「で?他には何もしてないのか?」 本当、僕の性格をよく把握してると 感心してしまう。 「別れ際、ほっぺにチュウした」 「やっぱりな、お前それ相手は混乱するぞ」 少々呆れた声……。 「え?なんで?」 「なんでって惚れた相手に いきなりそんな事されたらパニクるだろ? ここはアメリカじゃないんだ」 うっ……なんか痛いとこ 突かれた気がする。 10年もアメリカにいたから 僕は気持ちの伝え方が 少々日本人とズレている。 「じゃあどうすればいいの?」 司は車を端に停めると こちらを向いて軽く溜息。 「お前好きなの?」 改めて問われると照れてしまう。 だけど、多分この気持ちは恋。 僕は声に出すことなく頷いた。 「たく、なら好きって 伝えるのが先だろ?」 う……やっぱりそうだよね。 ごくごく当たり前の事を 言われているのだけど、 敢えて言われると なんか恥ずかしくなる。 僕はクッションから 顔を出しスマホを取り出す。 もう寝てるよな……。 時計は既に夜中の1時。 連絡するには遅すぎる。 「連絡先訊いたなら明日にすれば?」 「うん……そうする」 僕はスマホをしまい座席に凭れる。 車は再び走り出し 見慣れた景色が窓を流れ もうすぐ家だと言うのに 僕は襲って来た眠気に勝てず そのまま目を閉じた。

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