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第1章第44話

ま、まずい!言い訳なんて通用しない。 バッチリ目が合った……。どうしよう…………。 「大和?」 背後から暁の声。 だ、駄目だ頭が完全にパニック。 「ちょ、ちょっとトイレ」 そう言ってドアノブに手を掛けた瞬間 背後に温もりを感じた。 「え……?」 え?え────────! 暁が俺に抱きついてる。 後ろから身体を密着させ 腰に腕を回し背中に顔を擦り寄せた。 「行かないで……」 ギュッと更に力が籠る。 「あ、暁?」 思わず声が裏返った。 行こうにもこの状態では まるっきり動けない。 「大事な話があるって言ったでしょ?」 言いましたよ話があると。 でも、俺がした事は突っ込まないの? 気づいてないなんてありえない! 密着されて、きっとバクバクしてる 心臓は伝わってる。 「…………話……って?」 声が上擦ったまま何とか声に出す。 「こっち向いてくれないの?」 う……っはっきり言って まともに顔なんて見れない。だけど……、 暁の身体が僅かに離れ 有無言わさず身体を 反転させ向かい合わせにされた。 きっと俺の顔は真っ赤だ。 俺は思わず視線を外す。 だけど……?視線の隅に入った 暁の顔も同じくらい 真っ赤に染まっている。 え…………暁?

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