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第1章第47話

それでも俺は自分を落ち着かせる。 ふ~と深呼吸をし、暁を見た。 「駄目……」 「なんで?」 なんでって……。 それはやっぱり大事にしたいから。 「好きだからまだ早すぎる」 暁はあまり納得いかない顔で、 え────ぶーと頬を膨らませた。 その仕草が可愛くて 身体を引き寄せ抱きしめた。 「好きってその気持ちだけで 今は胸がいっぱい」 密着した身体を僅かに離し 触れるだけのキスをした。 暁は少々くすぐったいような 表情を浮かべ俺の首に腕を回し 「好きだよ」 そう言って、俺の耳許で甘く囁いた……。 今はこれだけで充分幸せだ。

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