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第2章第39話
暁side
結局あれから司に説得され、
話し合いの為、久しぶりに
司達が住むマンションへと
連れて来られた。
「好きな場所に座って、
とりあえず何か飲む?」
僕は頷くとソファへと腰を下ろす。
ここに来るのがいつ振りなのか
覚えていなくらい懐かしい空間。
颯真も司もお互い忙しいのに
きちんと片付いた部屋は
二人の性格が垣間見える。
「ごめん、コーヒーしかないけど」
キョロキョロしている僕に
温かなコーヒーを淹れ
司は僕の隣に腰を下ろした。
「……有難う」
僕はコーヒーを受け取り
フーフーして一口飲むと
ようやく気持ちが
落ち着きを取り戻す。
「暁? 大丈夫?」
司の問いに僕は
飲んでいたコーヒーを
テーブルに置いた。
「司……僕は我儘かな?」
大丈夫って答えれば
良かったのだろうけど、
僕の言葉に司の表情は曇る。
「暁は決して我儘
なんかじゃないよ?」
「でも……」
僕は思わず俯き
膝の上で拳を握った。
けれど、温かい大きな手が
ふわっと髪を撫でる。
「暁が今不安を抱えているのは
多分当たり前の事なんだよ?」
「……司」
今にも泣きそうな僕を
司は優しく抱き寄せた。
「きっと暁は色々な感情に
支配されていると思うんだ」
「……」
「でもそれは我儘だからじゃない。
誰かを好きになったら、
みんなが抱える普通の感情。
ただ暁を苦しめているのは、
俺が仕事に私情を挟むな、
割り切れって言い聞かせたのも
あるんじゃないかな」
司はそう言って
密着していた身体を離すと
穏やかな顔で僕の頭を
ポンポンと撫でる。
「俺は暁の恋の先輩でも
あるし、何よりマネージャー
として暁の仕事のパートナー
なんだからもっと頼って欲しい」
司の優しさと言葉に
僕は感情を溢れさせ始めた。
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