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第1章第51話
画面上では既にベッドでの
やりとりが繰り広げられている。
僅かに漏れる喘ぎと
舌を這わせる微かな水音……。
ごくり……思わず喉を鳴らす。
俺の頭の中は映像の彼らではなく
暁そのもの。妄想もここまで
くれば大したもんだと自分で納得。
ヘッドフォンも付けずに
流してるもんだから
俺のワンルームの部屋は
やらしい音がダダ漏れだ。
「ぁ…………ぁあ」
ネコと呼ばれる側が自身を咥え込まれれば
俺は暁の姿を頭に描き
タチと呼ばれる側が咥え込まれれば
俺の下半身は甘い疼きと共に張り詰める。
「や、べ……まじで……」
画面上に欲情してる訳じゃないが
妄想を掻き立てるには充分で
勉強のつもりがいつの間にか
頭で暁を好き勝手に犯す。
「ん……ぁ…………っ」
これじゃあいつもの展開……じゃないか……。
そう思うも手が止まらない。
「や……っば」
しかしそれを遮るようにスマホが鳴る……。
今いいとこなのに……。
俺はスマホの画面も
確かめず電話に出た……が、
「もしもし?大和?」
「あ、暁」
機嫌良さそうな明る声が電話口から
聞こえる……それと同時に
パソコンから喘ぎ声が流れ
俺は慌てて画面を切る。
「なんか聞こえたけど?何かしてた?」
「い、いや……なんでも」
俺は全身に熱を感じ汗が吹き出す。
まさか……勉強してましたなんて言えない……。
「あのね今度デートしたくて」
「も、勿論!俺はいつでも構わないよ」
「本当に?じゃあ、来週日曜日なら
空いてるからデートしよ」
「分かった……楽しみにしてる」
時間と場所はまたメールすると約束をし
「暁?仕事頑張ってね……」
「うんじゃあね大和、大好きだよ」
そう言って電話は切れた……。
あっ、焦ったマジで……。
あれだけ張り詰めていた俺自身も
完全に萎えてしまった。
それでも暁を傷つけたくない一心で
今度は冷静に再生した画面に見入る。
少々気分は良くないが
やっぱりローションとゴムは必須か!
と、一通り見た後ネットで商品を
購入しいつその日が来てもいいように
俺はこっそり準備をした。
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