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第1章第52話

デートまでに鬼のような 課題を終わらせ1週間……。 ようやくこの日が来た。 俺は気合い充分で待ち合わせ場所へ向かう。 ちょっと早かったろうか? 駅前の銅像前、 辺りをキョロキョロしながら 時計に目をやると まだ時間まで30分もある。 服装には気を付けてきたつもりだけど……。 もう一度自分の服装を確認しようとした時 「だーれだ」 突然背後から両目を塞がれ身動き取れず。 「あ、暁?」 「正解」 暁はご機嫌そうに返事をする。 「びっくりしたよ」 本当は内心ドキドキして 心臓が飛び出そうだったのに 何事もないように振り向くと 俺は思わず目を見開いた。 「!」 「お待たせ!あ、でも時間前だね」 にっこり微笑んでますけどその格好…… 口があんぐり開いてる俺を見て ようやく理解したようで 「あ、これ?デートだから この方がしっくりくるかなって?」 しっくりって……。 目の前の暁は男の子ではなく 完全に女の子……。 ニットワンピにショートパンツを合わせ コートを羽織 ロングブーツを履きこなしてる。 髪は勿論ロング、帽子と 伊達眼鏡をお洒落に使って 「変かな?」 そう云う問題じゃないような 気がするのは俺だけ? でも……ヤバイ……めちゃくちゃ可愛い。 いや待て────この格好は色々問題が。 「あ、暁……バレるんじゃ」 そう目の前にいるのは、 誰もが知ってるモデルAKIで 俺みたいのが一緒にいたら大騒ぎだろ。 「大丈夫!変装してるし」 い、いや……全然分かりますけど……。 「ほら行こう?」 口をパクパクしてる 俺の腕に長い手を絡め密着。 勿論突っ込む隙もなく ぐいぐい引っ張られ人混みを進んで行き 通りすがる男達が暁に視線を向け 「今の子綺麗だな~」 「一緒にいる男羨ましい」 などと嫌でも聞こえて来た。 男達だけじゃなくて 女の子までこちらを向き きゃきゃ騒いでる。 本当にこんなんで 今日1日大丈夫なんだろうか?

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