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第1章第54話
「お姉ちゃん綺麗だね俺等と遊ばない?」
俺を待っていた暁に柄の悪い男が2人
馴れ馴れしく絡んでる。
暁は困った様子で顔を背け黙ったまま。
「あいつら……」
ズカズカと俺が背後から近づくと
抵抗しないのをいい事に
奴らは調子に乗って
暁の長い髪を嗅いだかと思えば
無理矢理顎に手を掛けた。
「素っ気ないのも堪んないな……
俺等と愉しい事しようぜ?」
汚い手で触れ下品な誘い文句……。
ブチっと俺の中で何かが切れた。
「おま……」
そう俺が言いかけたと同時に
長身のサラリーマンが
暁に触れていた汚い手を取り後ろに捻る。
「いてて……」
「!」
え…………。俺の入る隙が
誰かに横取りされた。
「何すんだよ」
「俺のお気に入りに声を
掛けるなんていい度胸だな」
は?お気に入り?
男の台詞に耳を疑うが確かにそう言った。
「お前らには勿体ねー消えろ!」
涼しい顔つき……だけど
目は笑っていないサラリーマン風の男が
低音の声できっぱり言い放つと
男達は舌打ちをし逃げて行った。
俺はポカンとその場に立ち尽くす。
何が起きてる?
「大丈夫か?」
男がさっきの顔つきとはまるで
別人のように優しい表情を見せると
暁は男に抱きつき
「有難う颯真」
は…………?
颯真 ?ちょっちょっと
さっきのお気に入り発言と言い
この展開は?何なんだ!
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