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第1章第55話
口をポカンと開けたまま
唖然としていると
暁は一向に男から離れようとしない。
「ほら暁ファンデーション付いちゃう」
「あ、ごめんね」
そう言って男の胸元から
綺麗な顔を出すと
ようやく密着した身体を離した。
な、なんなんですか?
イチャつかれてる気分で
すげー嫌なんですけど。
「ご、ゴホン……」
俺はわざと咳払いをして見せ
2人の世界に慕っている2人を
こちらに向かせる。
「あ、大和」
暁は目を輝かせ俺の元へ擦り寄って来る。
「あ、暁……大丈夫?
ごめんね……俺が独りにしたから」
暁はブンブンと首を横に振り
俺の首に腕を回し身体を密着させる。
「大丈夫……颯真が助けてくれたから」
それ、それです。こいつ誰?
密着した暁に構わず
俺の足先から頭の先まで
ジローと睨めつけてくる
こいつは何なんだ。
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