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おなにぃ見られちゃった編 1
二回目の『再現』をすることになったのは週末の夜だった。
僕はバイトが入ったので、その後先輩の部屋に行く約束になっていたのだが、バイトが終わってスマホを確認すると先輩からメールが入っていた。
「わ……」
先輩からのメールを見た僕は思わず小さく声を上げる。
『これからちょいちょいうちに泊まるだろうから、着替え何枚か持ってきてうちに置いておけ』だなんて、まるで半同棲状態の恋人宛のメールみたいだ。
にやにやしながら夜道を大急ぎで自転車こいで自宅へと戻った僕は、超特急で先輩に言われた着替えの準備とシャワーをすませて、再び自転車に乗った。
途中でコンビニに寄って先輩に頼まれたマンガ雑誌と歯ブラシを買う。
先輩の部屋の洗面所に先輩の歯ブラシと僕の歯ブラシが2本並んで立っているところを想像してにやにやしているうちに、先輩の部屋についた。
チャイムを鳴らすと、すぐに先輩がドアを開けてくれた。
「おじゃましまーす。
これ、頼まれたやつです」
「おう、悪いな。
これ代金と、あと今日再現してもらう本な」
「はい、ありがとうございます」
先輩はパソコンデスクの椅子に座って早速マンガを読み始めたので、僕も適当に荷物を置くと床に座って、先輩から受け取った表紙に「オ」と書いてある本を開いた。
この前もらった本もそうだったのだが、先輩が完全に自分用に描いているだけあって、表紙や扉絵はない。
その代わりに1ページ目の真ん中あたりに目立つフォントでタイトルが入っているのだが、そのタイトルを読んだ途端、僕は「ぶはっ」と変な声を上げてしまった。
「ん? どうした?」
「こ、このタイトル、『おなにぃ見られちゃった|(はぁと)編』って……」
慌ててページをめくってざっと中身を確認したが、やはり僕が危惧した通りの内容だった。
「先輩、これ、2回目からいきなりオナニーショーって、ちょっとハードルが高すぎるんですが……」
本の内容は大まかに言えば、僕がモデルになっている『祐人 』がオナニーしているところを偶然先輩に見つかり、そのままオナニーするところを見せろと命令されるというものだ。
偶然見つかるシーンは後ろ向きなのでそれほど問題はないが、見せろと命令された後は先輩の真正面で大股開きにならなければならないので、これを再現するのはかなり恥ずかしそうだ。
「そうか?
男同士なんだし、別にオナニー見せるくらい平気だろ」
そう思うんだったら、先輩がやって見せて下さいよ!と言いたいところだが、そういうわけにもいかない。
「けど残りのやつは全部コスプレもので衣装がいるから、準備なしで再現出来るのはそれだけなんだよな。
まあ、無理なら今日はやめにしてもいいぞ。
その代わり、その本は返せよ」
そう言うと先輩は、僕が開いていた本を取り上げようとした。
「ま、待ってください!
やります、やりますから!」
最悪、本は今日見せてもらえなくても今度見せてもらえればと諦められるが、シャワーまで浴びて準備万端の再現の方は諦められない。
僕が慌てて叫ぶと、先輩はすぐ本から手を離してくれた。
「そうか、やってくれるか。
じゃあ、セリフは完璧じゃなくてもいいから、だいたいの流れは頭に入れといてくれ」
「分かりました」
そう言われて僕は、『おなにぃ見られちゃった編』を改めて最初から丁寧に読み始めた。
読めば読むほど、僕にとって恥ずかしい展開の話だ。
けれども今日も先輩に抱いてもらうためには、恥ずかしくてもこれを再現するしかない。
気が重くて思わずため息をつきながら本を閉じると、先輩も読んでいた雑誌を置いた。
「大丈夫そうか?
もし勃たなさそうだったら、オナホ貸そうか?」
「い、いえ、大丈夫です」
先輩のオナホにはものすごく興味があるが、そんなものを借りようものなら挙動不審になることは間違いないので、謹んで辞退する。
「そうか?
まあ、確かに人のオナホ使うのって、ちょっと嫌かもな」
いえ、全然嫌ではないんですけど!と僕が思っているうちに、先輩は例のクローゼットの奥からローションとバスタオルを出してきた。
「じゃあ、ローションだけでも使えよ、結構いいから。
汚してもいいように、バスタオル敷いてやるからな」
「あ、ありがとうございます……」
ベッドの上にバスタオルを敷いてくれた先輩に礼を言いながら、僕はその古びたバスタオルが気になって仕方が無かった。
バスタオルなら洗面所にも何枚か置いてあったと思うんだけど、わざわざローションと同じところから出してきたってことはあれですか!
そのバスタオルは先輩のオナニー用バスタオルなんですか!
今から僕が座るバスタオルに、先輩のあんな汁やこんな汁が染みこんでいるのかと思うと、オナニーするまでもなく、それだけでナニが反応しそうだ。
「あと俺の写真がいるのか。
プリントアウトしたやつあったかな……。
あ、これでいいか」
そうして先輩は見つけ出した写真を僕に手渡した。
「よし、じゃ準備も出来たし始めようか」
「はい」
先輩の言葉に答えて僕はベッドに上がった。
ズボンを下ろそうとしたところで、先輩が僕のすぐそばに立っていることに気付いて、先輩の方に振り返る。
「先輩、最初のシーンって僕一人だけですよね?」
「あ、そうだな、悪い悪い。
じゃあ、俺はあっちで見てるから」
そう言うと、先輩はキッチンに移動した。
出来れば、見なくていいですと言いたかったが、先輩のための再現である以上そういうわけにもいかず、僕は仕方なくベッドの上でズボンと下着を脱いだ。
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