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おなにぃ見られちゃった編 2★
準備が出来たので、僕はマンガの通りに入り口に背を向けて再現を始めた。
先輩の写真を左手に持って、ローションで濡らした右手で自分のナニを握る。
正直に言えば、ローションを使っていること以外は、マンガの再現というだけではなく、僕自身が普段やっているオナニーの再現にもなってしまっていた。
先輩、まさかほんとに僕の部屋をのぞいてたんですか!と言いたくもなるが、実際にはそんなことはなく、単に僕の行動がテンプレ過ぎるだけだろう。
先輩が貸してくれた写真は何かの飲み会の時のものらしく、酔っ払って赤くなった先輩が何人かと一緒に楽しげに笑っているものだった。
僕が普段使っているサークルの集合写真よりもずっといい表情だし、大きく写ってもいたので、この写真欲しいなと思いながら、僕は右手を動かす。
あまりにも普段と変わらない状況だったので、いつのまにか僕はマンガの再現中であることも忘れて、オナニーに夢中になっていた。
無意識のうちに「先輩……」といつものようにつぶやくと、いつの間に近づいてきていたのか、すぐ後ろで先輩の「呼んだか」という声が聞こえてきて、それはマンガのシーンそのままだったにも関わらず、僕は驚いて飛び上がってしまった。
「せ、先輩!」
演技ではなく、素で焦りつつ僕が股間を隠すと、先輩は僕が左手に持ったままだった写真を取り上げた。
「ふーん、俺の写真ね……。
高橋、お前、俺の写真見て、俺のこと呼びながらオナニーって、いったいどういうつもり?」
「す、すみません……」
「誰も謝れなんて言ってないだろ?
俺はどういうつもりかって聞いてんの」
「それは……すいません、許してください」
もし実際にそんなふうに問い詰められたとしても、やはり答えることなど出来ず、謝り倒すしかないだろうと思う。
テンプレ展開ではあるのかもしれないが、さすがに先輩のセリフ選びにはリアリティがあるなと思う。
「許せねぇな。
勝手に俺をオカズにしやがって。
許して欲しいなら、そうだな……。
罰として、今から俺の目の前でさっきの続きをやってみせろ。
そうしたら許してやるよ」
「えっ、そんな……無理です……」
「やりたくないなら別にいいぜ?
その代わり、今日限りで絶交な。
明日からもう、口もきいてやらないから」
「えっ……」
マンガのセリフの再現とはいえ、先輩の口から実際にそんなセリフが出るとショックだった。
もし僕の本当の気持ちが先輩にバレてしまったら、同じことを言われてしまうかもしれないと想像すると、胸がきりきりと痛む。
「わ、分かりました。
やります……」
思わずそんな想像をしてしまったせいで、演技するまでもなく涙目になりながら、僕は次のセリフを口にした。
先輩の方に向き直って、隠すように膝を立てると、僕は萎えてしまった自分のモノを再び握った。
「それじゃ見えないだろ?
もっと足開けよ」
「はい……」
先輩にうながされ、僕は両足を大きく開いて、先輩に見せつけるようにしてオナニーを始めた。
マンガを読んだときは、こんな恥ずかしいこと出来ない、出来ても絶対勃たないと思っていた。
けれども実際にやってみると、先輩に見られてながらするというこの異常な状況に興奮してしまって、勃たないと思ったモノも徐々に反応してきた。
「お前、いつもそんなふうにしてんの?
本当はもっと他のとこも一緒にいじってるんじゃないの?
たとえば……こことか」
そういうと先輩はTシャツの上から僕の乳首を探し出すと、きゅっとつまんできた。
「やっ……、そんなとこ、触ってないです……」
確かに実際の僕も、以前はオナニーの時に乳首なんてほとんど触らなかった。
今は先輩に初めて抱かれた時のことを思い出しながら、一緒に触るようになってしまったけれど。
「本当か?
よし、嘘言ってないか、確かめてやるよ」
そう言うと先輩は僕のTシャツを脱がせて、乳首を触ってきた。
「あんっ……」
「やっぱり嘘だったな。
こんなとこ、普段からいじってなかったら感じるはずないだろ?」
「違っ……、先輩が、そん、なふうにっ、触る、からっ…」
マンガの通りのセリフだけど、本当にその通りだ。
先輩の触り方は何だかいやらしくて、自分で触ってる時よりもずっと感じてしまう。
「俺のせいにするなよ。
お前が普段からいじってるからだろ。
どうせ乳首だけじゃなくて、こっちもいじってるんじゃないのか」
そう言うと先輩は僕をベットに押し倒し、すばやくローションで指を濡らして僕の後ろの穴に触れてきた。
「あっ、うそ…っ」
確かそんなセリフだったと思い出した言葉を口にしながら、僕は先輩の指を受け入れるために力を抜く。
「…あんっ…んっ……」
前回のですっかり覚えてしまったのか、先輩はいきなり容赦なく中の一番感じるところを刺激してきて、僕は演技ではない喘ぎ声を上げる。
「やっぱりここもいじってるんだろ。
こんなエロい顔して感じやがって」
「や、そんなことない……」
「嘘だな。
このいやらしい穴に、俺の太いやつをぶち込まれるところ、いつも想像しながらいじってるんだろ?」
「して、ない……。
想像は、してる、けど、指入れたことはない……」
ほんとにもう、エスパーか!とツッコミたくなるくらい、先輩の書くセリフは現実の僕そのまんまで辛い。
「そっか、想像はしてるのか」
「あっ……。
ごめんなさい、先輩ごめんなさい」
「許せねぇな。
許せねぇから……、罰として、どんなふうに想像してるのか、俺に見せてみろ。
手伝ってやるから」
そう言うと先輩はズボンのチャックを開けて、すでに臨戦態勢になっていた太いモノを取り出すと、ポケットからゴムをだしてそれにかぶせ、さらにローションを塗った。
先輩の準備が終わるのを若干間抜けな感じで待っていた僕は、やがて先輩が覆いかぶさってくると、前回の時の痛みを思い出して、少し体をこわばらせてしまう。
けれども実際に先輩が入って来たとき、痛みはほとんどなかった。
強引なように思えた前戯で先輩が中をきちんとほぐしていてくれたことと、前回のように一気に押し込まれるのではなくて時間をかけてゆっくりと入れてもらえたおかげだろう。
僕は後ろの穴で快感と、先輩のモノでいっぱいにされる幸福感とを感じることが出来た。
「ほら、手、止まってるぞ」
「は、はい」
言われて僕は、再び握ったままの自分のモノを擦り始める。
「…あっ…やっ……。
あっ、イくっ……、イっちゃうっ…!」
先輩に中を突かれながら自分で前をいじっていて、そうそう耐えられるはずもない。
僕はそうそうに、恥ずかしい声を上げながら達してしまった。
「あっ……やんっ、先輩…、だめっ……」
さすがに早すぎてまだイけなかったらしい先輩が、達したばかりで敏感になっている僕の中でめちゃくちゃに動く。
やがて先輩は小さなうめき声を上げて僕の中で達し、その時には僕もまた、軽くイッてしまった。
ぐったりしている僕に、先輩がキスをする。
「これに懲りたら、もう俺をオカズになんかするなよ。
もし今度オナニーしたくなったら、その時は俺に言え。
自分でする気なんかなくなるくらい、たっぷり抱いてやるから」
そんな俺様な先輩のセリフで再現は終わり、先輩は僕の中から出ていった。
これはただの再現なんだから仕方がないのだけれど、つい寂しいなと思ってしまう。
「お疲れ、ありがとな」
「はい、ありがとうございました」
先輩の言葉に僕もお礼を返すと、先輩はぷっと吹き出した。
「お前が礼を言うのはおかしいだろ」
「あ、あ、そ、そうなんですけど、でも、あの、気持ち良かったんで」
しどろもどろになってごまかした僕のことを、幸い先輩は特に不審には思わなかったらしい。
「そうか?
なら良かった。
俺だけが楽しんでるんじゃ悪いからな」
そう言うと先輩は起き上がって服を直し始めた。
「シャワー、先に浴びるか?」
「いえ、僕まだ動けそうにないんで、先輩お先にどうぞ」
「そうか、じゃ、お前はもうちょっと休んどけ」
そう言うと先輩は全裸の僕にタオルケットをかけてくれ、ついでに冷蔵庫から出した水を僕に渡してから風呂場へ行った。
その水を飲んで、先輩がシャワーを浴びているかすかな水音を聞いているうちに、起き上がれる程度には体が回復してきた。
ちょうどそのころ水音が止まったので、僕は起き上がって服を着ると、着替えと新品の歯ブラシを持ってそろそろと風呂場へと向かった。
「お、もう大丈夫か?」
「はい、何とか」
丁度出てきた先輩と言葉を交わしながら、入れ替わりで脱衣所に入る。
「タオルと歯ブラシ出しといたから使ってくれ」
「ありがとうございます。
けど歯ブラシは僕も買って来たんで」
「そうか? ……って、お前買って来たの緑かよ。
それはお前んちで使えばいいから、うちでは俺が買ってきたやつ使えよ」
「あれ、緑はまずかったですか?
確か先輩のは青だったと思ったんで違う色にしたんですけど」
「だめだめ、確かに青だけど緑だと似てるから絶対間違う。
だからお前はこっちな」
そう言って先輩が渡してくれたのは、なんとピンクの歯ブラシだった。
「ちょ、先輩ピンクって」
「別にいいだろ、ピンクでも。
家主は俺なんだから、文句言うな」
「まあ、それはその通りなんですが……。
けど先輩、ピンクの歯ブラシなんか立てといたら、誰か来たときに彼女の歯ブラシかってからかわれませんか?」
「大丈夫、大丈夫。
自分の部屋に脳内彼女の歯ブラシ置いてるやつなんか山ほどいるし」
「えー、そういう問題かなぁ」
そんなくだらないやり取りをしているうちに僕は、自分の歯ブラシは洗面所に置かずに着替えと一緒にしまっておけば色など何でもいいことに気付いてしまったのだが、それは先輩には言わないことにする。
例えピンクでも、それが脳内彼女のものだとごまかされようとも、先輩と僕の歯ブラシが2本並んでいるという光景はどうしても実現してみたい。
「しょうがないですね。
ピンクで我慢します。
じゃ、シャワー借りますね」
「おう」
先輩が脱衣所から出て行ったので、僕はさっそくピンクの歯ブラシを開けて、先輩の青い歯ブラシが立っているコップに立ててみた。
2本並んだ歯ブラシは、やっぱり同棲中の恋人同士のものみたいに見えて、僕は一人でにやにやしながらシャワーを浴びるために風呂場に入った。
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