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セーラー服緊縛編 1☆
「じゃあ今日は高橋待望のセーラー服緊縛編な」
約束の時間に先輩の部屋を訪ねると、先輩は待ちかねていたように表紙に「セ」と書いた本を差し出してきた。
「わーい……ありがとうございます……」
「なんだ、うれしくないのか」
「いえ、この本はずっと読みたかったからうれしいんですけど、この後これを再現しなきゃいけないのかと思うと……」
前回のオナニー視姦も相当きつかったけど、セーラー服女装も縛られるのもたいがいきつい。
「大丈夫だ、高橋。
お前ならやれる。
自信を持て」
「無責任だなぁ……。
まあ約束ですし、がんばりますけど」
多少恥ずかしくても、一度先輩に抱かれる幸せと気持ちよさを味わってしまった以上、もうそれを手放すことはできなくなっている。
それに先輩の方も今日の分を楽しみにしてくれているようだから、楽しんでもらえるように出来るだけがんばって再現したい。
僕は覚悟を決めて本を開いた。
実は密かになんで男がセーラー服で緊縛?と思っていたのだが、実際に読んでみると、やや強引ではあるがちゃんとした理由がストーリー上で語られていて、そのあたりは先輩らしいなと思う。
しかも今回の話はすでに恋人同士の設定で、エロいだけでなくラブラブでもあって、これが再現出来るのかと思うと、現金なもので僕の方も楽しみになってきた。
「読んだか?
じゃあ、これに着替えてくれ」
僕が本を閉じると、先輩は待ちかねていたようにビニールに入ったセーラー服を差し出してきた。
ぺらぺらでいかにも安っぽい感じがするそれは、おそらくエッチな方のコスプレ用に市販されているものだろう。
「先輩、これわざわざ買ったんですか?」
「おう。
学園物のコス用衣装でも買わなきゃいけないかと思ったけど、量販店行ったらそういうのいっぱい売ってたわ。
ついでに他のもいくつか買っといたから楽しみにしとけよ」
「うーわー。
それはどうもありがとうございます……」
ということは、セーラー服以外にもまだ女装ものがあるということか。
衣装の数だけ抱いてもらえることはうれしいが、他の女装もするのかと思うと、ちょっと気が重い。
とはいえ先々のことを気にしていても仕方がないので、僕は先輩に背を向けて、受け取ったセーラー服に着替えることにした。
設定的に下着はそのままでよさそうだったので、シャツとズボンだけ脱いでセーラー服を着る。
セーラー服は夏服で上は白い半袖に黒の襟と赤いスカーフ、下は黒の膝上のプリーツスカートだった。
レディースのLサイズなのでちょっときつくはあったが、それでもさして問題なく着ることができてしまうのが、我ながらちょっと悲しい。
「着られたか?
ちょっとこっち向いてみろよ」
「はい……」
「おー、いいな。
さすが高橋、似合ってるぞ」
「そ、そうですかね……」
男の僕にセーラー服が似合うとは思えないので、それはたぶん先輩の目にはマンガ通りの服装という補正がかかっているだけだと思う。
「似合ってるって。
鏡見てみろよ。
あ、ついでにこのウイッグも頼む。
他の再現で使うのに長い方がよかったから、おかっぱじゃなくて三つ編みにしといたから」
「はい」
先輩が差し出してくれた鏡をのぞいてみると、確かに思ったよりはひどくなかった。
ウイッグもかぶってみると、遠目ならなんとか女の子に見えそうかなという程度の出来には仕上がっていた。
「それでロープなんだけどな。
マンガ通りにビニール紐で試してみたんだけど、あれ結構縛りにくいし痛くてな」
せ、先輩試したんですか……。
それはちょっとだけ見たかったかも……。
一瞬脳裏によぎったよからぬ想像を僕が頭から追い出していると、先輩は白い紐状のものを取り出した。
「それでな、今日は代わりにこれを使うことにする」
「ゴム紐……ですか?」
先輩が出してきたのは、いわゆるパンツのゴムと言われる、5ミリ幅くらいの手芸用の白いゴム紐だった。
「確かにそれなら痛くないでしょうけど、萎えませんか?」
伸び縮みするゴム紐なら縛りやすいし、僕の負担も少なそうだが、ビジュアル的にかなり間抜けなことになりそうだが大丈夫だろうか。
「そこはお前、妄想で補うんだよ。
実際にはゴム紐でも、これはビニールロープだと自分に言い聞かせていれば問題ない。
お前も仮にもマンガ描いてるんなら、それくらいはできるようになれ」
「わ、わかりました、がんばります」
なんだかよく分からない理論だと思うが、先輩がそう言うならがんばるしかないだろう。
「じゃ、始めるか。
俺はあっちから入ってくるから」
「はい」
そう言うと先輩はキッチンへ出て、いったん扉を閉めた。
僕も適当な位置に立って、髪と服を直して先輩を待つ。
「ただいまー……わっ!」
「おかえりなさい……」
マンガ通りのセリフを言いながら部屋に入って来た先輩を、僕もマンガ通りに出迎える。
さっき先輩の前で着替えて見せた時は特に何とも思わなかったのだが、そんなふうに改めて驚かれると無性に恥ずかしくて、僕は自然と消えそうな小さい声になっていた。
「お前、それ、いったいどうしたんだ」
「演劇サークルの友達に借りました……」
「いや、どうしたってそういう意味じゃなくてだな。
なんでセーラー服なんか着てんのかって聞いてんの」
「だって……。
先輩、この前女子高生見てかわいいって言ってたから……。
だから、僕も、先輩にかわいいって思って欲しくて、セーラー服着たら、かわいいって思ってもらえるかなって……」
理論的には間違っていないし、もし仮に僕が実際に先輩と付き合っていて女子高生に目移りされたら、それくらいの思い切った行動をしてしまう可能性もないとは言えない。
だが実際にこんな先輩のリアクションを前にしたら、作中の『祐人』は激しく後悔しただろうと思う。
僕がいたたまれなくてモジモジしていると、先輩ははあっとため息をついた。
「バカだな。
確かにそんなこと言ったかもしれないけど、だからと言ってわざわざそんなもの着なくても、俺にとっては祐人が一番かわいいに決まってるだろ?
それくらい、わざわざ言わなくてもわかれよ」
先輩のセリフは呆れたような口調ではあったが、そこには確かに『祐人』に対する愛が感じられた。
「先輩……」
作中の『祐人』とは違う意味で、僕の胸もまた、喜びに満たされる。
マンガのセリフだとは言え、先輩に下の名前で呼ばれたのは初めてで、そのことが単純に嬉しい。
「そんなこともわからないようなやつには、お仕置きしないといけないな」
そう言って先輩はマンガの通りの意地悪そうな笑みを浮かべると、用意してあったビニール紐を手に取った。
「よし、じゃあ縛るぞ。
高橋、腹出せ」
「はい」
マンガの中では、このセリフの次のコマではもう、完全に縛られた状態だったのだが、現実ではそういうわけにはいかない。
再現をやめ素に戻った先輩の指示に従い、僕はセーラー服をまくり上げた。
先輩はビニール紐をいったん置いて、束になったゴム紐を持って僕の背中側に回った。
「あ、これもう結び目作ってあるんですね」
「おう。
さすがに亀甲結びは時間がかかるからな」
先輩はあらかじめマンガの通りの凝った結び目になっているゴム紐を僕のお腹に巻き付けると、次に胸に1本のゴム紐をぐるりと一周させた。
続けてそのゴム紐を引っ張って乳首にきゅっと巻き付けたが、僕の小さな乳首にそれくらいで固定出来るはずもなく、すぐにパチンと外れてしまった。
「あいたっ」
「おっと、ごめん。
んー、さすがに乳首だけ縛るのは無理か。
まあ、とりあえず上はこれでいいや。
次は下縛るぞ」
「は、はい……」
そう言われたものの、僕は上着のようにスカートをめくり上げることは出来なかった。
「だから、下だって。
早く出せよ」
そう言うと先輩は僕の行動を待つことなく、さっさと自分でスカートをめくり上げてしまった。
「あっ、待ってください!」
慌ててスカートを押さえたが間に合わず、僕がスカートをめくるのをためらった理由が、先輩の目にさらされてしまった。
「なんだ、勃ってたのか」
「すみません……」
まだエロいことなど何もされてないのに、下半身がしっかり反応してしまっているのが、どうしようもなく恥ずかしい。
「気にするなよ。
俺ももう勃ってるし。
それよりも縛るから、お前はスカート持っててくれ」
「は、はい」
先輩自身の状況をさらっと報告されたせいで、僕のモノは萎えることも出来なくなってしまった。
そのままパンツを脱がされ、先輩の手でマンガの通りに縛られる。
伸びるゴム紐なので痛くはないが、竿のくびれと根本を縛られ、玉を二つに分けられ、おまけに後ろの割れ目にまでゴム紐をかけられ、感じずにいられるはずもない。
股間のモノをビンビンに勃たせたまま、僕はベッドに寝かせられた。
「悪いけど腕はこれで縛るな。
内側にタオル巻いとくから痛くはないと思うけど」
そう言うと先輩は僕の手首を頭の上でまとめ、タオルを巻いてその上からビニール紐で縛った。
ロープ状により合わせてあるタイプのビニール紐で直に縛られたら結構痛いだろうが、タオルのおかげで全く問題なさそうだ。
それから先輩は、縛られた部分がよく見えるようにセーラー服をめくり、仕上げに赤いスカーフを胸の真ん中に垂れるように整えると、少し離れて仕上がりを確認し、満足そうにうなずいた。
「うん、完璧だな。
これはエロい」
「は、はぁ……」
自分ではよくわからないのだが、少なくとも先輩はロープではなくゴム紐だからといって萎えることはなかったらしい。
「我ながら素晴らしい仕上がりだ。
あ、写真撮ってもいいか?」
「そ、それは勘弁してください」
「まあ、そりゃそうだよな。
じゃあ、忘れないようにしっかり目に焼き付けておくか」
そう言うと先輩は、言葉の通り僕の体を穴があきそうなほどじっくりと眺めた。
視姦という言葉の意味を、僕は思い知る。
こんな姿を先輩に見られるのは恥ずかしくて、それなのに先輩に熱心に見られているとそれだけで感じてしまってどうしようもない。
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