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淫乱(ビッチ)高校生編 1☆

実家の母親から電話があって、米と野菜を送るが他に必要なものはないかと聞かれたので、高校の制服が残っていたら送って欲しいと返事をした。 そんなもの何に使うのと聞かれて、とっさに演劇サークルの友達が欲しがっているからと答えてしまったのは、たぶんセーラー服編のセリフが頭に残っていたせいだと思う。 数日後、実家から届いた荷物を開けると、たくさんの食料と共に、制服一式がちゃんと入っていた。 一人暮らしの息子を思いやってくれる母親に用意させてしまったものの使い道を思うと、僕は荷物を前に、母ちゃんごめんと頭を下げるしかない。 母に荷物が届いた報告メールを送ってから、先輩にも実家から食料と一緒に制服を送ってもらったとメールすると、すぐさま先輩から電話がかかってきた。 「制服届いたって?」 僕がもしもしと言う声にかぶさって、先輩の弾んだ声が聞こえる。 「はい」 「今からこっち来れるか?」 「はい大丈夫です」 「よし、じゃあすぐ来い。  あ、制服忘れずにな」 「分かりました。  じゃあ10分で出ますから」 「おう、待ってるぞ」 そうして僕は電話を切ると、シャワーと着替えを済ませて、野菜のお裾分けと制服を自転車のカゴに入れて先輩の部屋へと向かった。 先輩の部屋につくと、先輩は僕が右手にぶら下げていた野菜の入ったビニール袋には目もくれず、左手の制服の入った紙袋を奪っていった。 「実家から送ってきた野菜もちょっと持ってきたんで、冷蔵庫入れときますね」 「おう、ありがとな」 一応返事はしたものの、先輩の意識は完全に制服に持って行かれているようだ。 広げた制服のブレザーのあちこちを調べつつ、やっぱり後ろにスリットがとか、しまった袖にボタンあったのかとか、ぶつぶつとつぶやいている。 「先輩、それ、僕が着るんですよね?  着替えましょうか?」 言われなくてもなにをするかは分かっているので、僕は自分から先輩にそう申し出る。 「ああ、先にマンガ読んどいてくれ。  机の上のやつな」 「分かりました」 制服に夢中の先輩を横目に、僕はいつもの本を手に取った。 1ページ目を開いてみると、乱れた制服姿にダブルピースの『祐人』のイラストと共に書かれていたタイトルはなんと『淫乱(ビッチ)高校生編』で、僕は思わず小さくうめいてしまう。 読んでみると内容もやはりタイトル通りで、ビッチな高校生がセフレの先生に積極的にせまって校内でヤるというものだった。 教師役の先輩の立場だったら、ビッチな生徒とエロいことするという超定番のおいしい設定なのだが、そのビッチな生徒役の僕からしたら今回のもそうとうキツい。 しかしキツくはあるが、僕の制服であんなにもテンションが上がっている先輩のためには、何とかがんばるしかない。 僕は意を決して、用意してあったローションを手に取った。 「すいません、準備いるようなんで風呂借ります。  ついでに着替えもしてきますね」 そう、今回はビッチというだけあって、『祐人』は先生のところに来る前に、すぐ先生と繋がれるように自分の体の準備を済ませているのだ。 正直この時点でもう、今まで再現してきたものとは別の種類のキツさがある。 それにこれまではいつも再現の中で先輩の手で準備してもらっていたから、自分でやったことは一度もなくてうまく出来るかどうかもわからないが、何とかやってみるしかないだろう。 「え?  ああ、その準備な。  途中でいったん再現を中断してやればいいかと思ったけど、先にやっとくか?  よし、じゃあやってやるから、ベッドで横向きになってケツ出せ」 な、なんてこと言うんですか! 再現の最中ならともかく、しらふで先輩の前でケツなんか出せるはずが、ましてそこの準備なんかさせられるはずないじゃないですか! 先輩の言葉に青くなった僕は、なんとかそんな事態を回避しようと、必死で先輩の申し出を断ろうとする。 「い、いえ、自分でやりますから」 「自分でってお前、やったことないからやり方わからないだろ?  いいからまかせろって」 「いえ、ほんと、大丈夫ですから」 そうやってしばらく攻防が続いたが、結局は先輩に押し切られてしまい、僕はバスタオルを敷いたベッドの上に横になった。 横向きになって先輩に背中を向けると、先輩は容赦なく僕のズボンとパンツを下ろして、後ろに指を入れてきた。 まさか再現前にこんな羞恥プレイが待ち受けているとは……。 いつもなら、すでにいっぱいエロいことをされた上で指を入れられるので、変な脳内麻薬が出ていて恥ずかしいなんてこれっぽちも思わないのだが、冷静な状態で準備をしてもらうのはかなり恥ずかしい。 僕は片手で顔を、もう片方の手で勝手に反応してくるナニを隠しつつ、先輩が準備を終えるまでの時間をただひたすら耐えるしかなかった。 「ん、こんなもんかな。  高橋、もういいぞ」 「は、はい。  ありがとうございました……」 再現が始まる前からすでに精神的に瀕死状態になりながら、僕はなんとか起き上がって制服に着替えた。 先輩は僕が来る前に着替えていたのか、すでにマンガと同じポロシャツにチノパン姿だったので、パソコンデスクに座って僕が着替え終わるのを待っている。 「じゃあ準備できたんで向こうから入ってきますね……」 「おう、よろしく」 そうして僕は、再現を始めるために、いったんキッチンに出て扉を閉めた。

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