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飼い猫変身編 2★

そのまま少し待っていると、キッチンのドアが開いた。 「ただいまー……あー……」 「お帰りなさい! ご主人様」 先輩にはこれまで何度も全裸を見られているけれど、最初からいきなり裸というのはやはり恥ずかしい。 それでも猫だから恥ずかしくないと自分に言い聞かせつつ、僕は先輩を出迎える。 「クロ、お前また人間に変身しちゃったのか……まいったな」 すでに何回か人間に変身しているという設定なので、驚いているというよりも困惑している先輩のセリフに、人間に変身した猫の僕は悲しそうな顔をしてみせる。 「ご主人様は人間の僕は嫌い?  ずっと猫でいた方がいい?」 「いや、そんなことないから! 猫のお前も人間のお前もどっちも好きだよ。 ただ、お前が人間になると目のやり場に困るんだよな……」 人間の僕にはその気持ちは非常によくわかるのだが、今は中身は猫の設定なので、ご主人様が何を言っているのかわからないというように首をかしげてみせる。 「あー、まあいいから気にすんな。 それよりも腹減っただろ? すぐに猫缶出してやるからな」 「あ! 僕、猫缶よりご主人様のミルクが飲みたい!」 エロマンガの定番ゆえに口にするのは憤死モノの恥ずかしいセリフだが、自分は猫なんだからと言い聞かせつつ、無邪気な感じの演技でセリフを言う。 「仕方ないなー。  飲ませてやるから、後でちゃんと猫缶も食べろよ」 「うん!」 口では仕方ないと言いつつもニヤけた顔で先輩がベッドに移動したので、僕も立ち上がってその後をついて行く。 ベッドに腰掛けた先輩の足の間に座らせてもらい、僕はさっそく先輩のズボンのファスナーを下ろす。 「フリだけでいいからな」 猫を撫でる手つきそのままで僕の頭を撫でながら、先輩は小さな声でマンガのセリフにはないことを言う。 僕は先輩の言葉を無視して、先輩のモノに唇を近づける。 僕の裸見ただけで勃ててくれてるのに、フリだけですませられるはずないよ。 そう思いながら僕は、先輩のモノを口に含む。 「ちょっ……」 いったんは僕を制止しかけたものの、結局先輩は僕がするままにさせてくれた。 それはそうだろう、僕の口の中で先輩のモノはどんどん育っていっているのだから、男ならこんなところで止められるはずがない。 初めてで下手くそな僕のフェラチオに先輩が感じてくれているのがうれしくて、僕はいっそう熱心に先輩のモノをしゃぶる。 僕が先輩を感じさせようと動くたびに、首に付けた鈴がチリチリと音を立てて、そのことさえも僕を興奮させる。 「クロ」 先輩が猫の僕を呼んだ。 あれ、ここでセリフあったっけ、と僕は思わず動きを止めてしまう。 「クロ、口よりお尻で俺のミルク飲みたくないか?」 先輩の口から出たセリフに僕は再び心の中で首をかしげる。 ここは本来、僕のフェラチオで先輩がイッて、先輩が「ミルクおいしかったか?」と聞いて僕がうなずき、その後「お尻でも飲みたくないか?」と本番になだれ込む流れのはずだ。 先輩間違えてる?と一瞬思ったが、すぐに僕は先輩の意図に気付く。 そうか、僕が先輩の飲まなくてもいいように……。 先輩が実際に口に出したセリフの通りの流れに変更すれば、僕は先輩が出したものを飲み込むことなく、このまま本番に行ける。 僕自身は先輩が出したものを飲み込むことに抵抗はないし、むしろ積極的に飲んでみたいくらいではある。 けれども結局はその欲求よりも、飲むのはつらいだろうと流れを変更してくれた先輩の気遣いがうれしいという気持ちの方が上回った。 「うん! お尻で飲みたい!」 「じゃあ、こっちにおいで」 僕が先輩の変更にそのまま乗っかると、先輩は僕をベッドに上げてくれる。 マンガの通りにベッドの上で四つん這いになると、先輩はお尻に垂れた尻尾をぺたんと背中に移動させた。 いつものようにローションと指で僕の中の準備をしてくれた後、先輩が僕の中に入って来た。 「……んっ…ぁん……あ、にゃ、にゃー………」 たまに思い出したように猫の鳴き声を混ぜてみるけれど、先輩に抱かれるのは気持ちよすぎて、僕は猫になり切るのを忘れがちだ。 動くたびに僕の首で鳴る鈴の音はうるさいくらいなのに、それももう全く気にならない。 散々中を突かれ、前も触ってもらって、僕はもうイク寸前だ。 先輩の動きも速くなってきて、そろそろ終わりが近いのを感じる。 「出すぞ、高橋!」 「……えっ?」 先輩、今、クロじゃなくて、高橋って言った? 「あっ……」 先輩も間違ったことに気付いたのか、後ろで慌てたような声がする。 けれども体の方は止まらなかったのか、先輩は僕の中でイッた。 同時に僕も果てたが、肝心なところで気がそれてしまったせいか、どことなくイキ切れていないようで中途半端な感じがする。 体の方は物足りなかったものの、僕の心は満たされていた。 今までは完璧な再現をしていた先輩が、わざわざ僕のためにマンガの流れを変えてくれただけでなく、うっかりキャラではなく僕の名前を呼んでしまうなんて、幸せ以外の何物でもない。 「あー……しまったー……」 先輩の方はどうやら自分の間違いがかなりショックだったらしい。 最後のセリフをキャンセルして、僕から体を離して背中を向け、さっさと自分の後始末を始めている。 そして僕の気のせいでなかったら、その耳は心なしか赤くなっている。 僕も自分の後始末をしつつ、先輩になんて声をかけるべきか迷っていた。 ここは慰めるべきか、それとも間違いには触れずに流してあげるべきか。 それともいっそ、先輩の方にも脈有りとみて、この機会に思い切って告白してしまう……いや、それはちょっと危険な賭かも……。 僕が迷っていると、先輩がいきなりくるっとこちらに振り返った。 「もう寝る!  高橋、お前も寝とけ」 「え、寝るってまだ8時前ですよ?」 「いいから寝ろ!」 なぜかキレ気味にそう言うと、先輩は僕をベッドに押し倒して、あろうことか一緒に布団をかぶってしまった。 え、うそ、寝るってまさか一緒に? 先輩とは何度もセックスしたし、その後泊まらせてももらったけれど、先輩のうちには友達が泊まることが多くて客用布団があるので、僕はいつも布団を借りて先輩とは別々に寝るのが常だった。 それなのに今日に限って一緒になんて、それも裸のままでなんて、そんなの眠れるはずがない。 慌てる僕の心の内を知ってか知らずか、先輩は僕が付けていた猫耳カチューシャをはずしている。 「尻尾もはずしとけよ」 そう言いながら先輩は首に付けたリボンをほどいている。 僕も慌てて腰に巻いていた尻尾をはずす。 「あの、先輩……」 尻尾を手渡しながら呼びかけてみたが、先輩は僕の呼びかけを黙殺した。 僕から尻尾を受け取ってベッドの下に置くと、先輩は僕の頭を抱え込んで、布団の中に押し込んでしまった。 うそ! 腕枕! ど、どうしよう……。 幸せなのは幸せなのだが、これはむしろ幸せすぎて死ねる。 「先輩、苦しいです」 「いいから早く寝ろって」 じたばたと暴れてみたが、そうすると先輩はいっそう僕をぎゅっと抱きしめてくる。 しかたなく僕は、抵抗を止めて大人しく寝ることにする。 「おやすみなさい」 「おう、おやすみ」 おやすみとは言ったものの、眠れるんだろうかと思いながら、僕はドキドキと鳴り止まない胸を抱えつつ、先輩の素肌のぬくもりを味わっていた。

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