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看病ナース【先輩side】

……やばい、熱上がってる……。 いつの間にか暗くなっていた部屋で目を覚ました俺は、自分の体調の悪さに呆然としていた。 今日は朝からちょっと風邪気味だなと思っていた。 無理せずに授業が終わってすぐに帰って寝ていたのだが、夜になって熱が出てしまったようだ。 うう、のど渇いた……。あとプリン食いたい……。 そういや、高橋がバイト終わったら来るって言ってたっけ……。 気がつくと俺は、枕元のスマホを手に取り、もうろうとしたまま高橋にメッセージを送っていた。 ……いや、駄目だろ……。 送信ボタンを押した直後、俺ははっと我にかえった。 全く、高橋に買い物なんか頼んで、高橋に風邪がうつったらどうすんだよ。 メッセージ送るなら、今日は来るなって書かなきゃ駄目だろ。 けれどもすでにメッセージは送ってしまった後だ。 今更追加で今日は来るなというメッセージを送っても、最初のメッセージで俺が風邪をひいたことを知った高橋は、追加のメッセージを無視して来てしまうだろう。 自慢じゃないが、その程度には高橋に愛されている自信がある。 あー……俺、甘えてんなー……。 熱がある上に寝起きでぼんやりとしていたとはいえ、高橋にあんなメッセージを送ってしまったのは、やはり俺の中に高橋に甘える気持ちがあるからだろう。 高橋はかわいくて、俺としては高橋のことをいっぱい甘やかしてやりたいし、実際甘やかしてもいるのだが、それでもやっぱり、俺の方にも恋人に甘えたい気持ちはあるのだ。 ……せめてマスクくらい用意しとくか。 高橋には来て欲しいが、高橋に風邪はうつしたくなくて、俺は何とか起き上がると、キッチンで水を一杯飲んでから、使い捨てのマスクを出してきた。 しかし条件反射とは恐ろしいもので、マスクを手にした俺は、マスクを付けた高橋の姿を想像し、ついでに高橋がマスクをつけるような状況を妄想し始めていた。 風邪、花粉症……食品工場……歯医者……、いや歯科衛生士だな。 妄想が固まった俺は、ふらふらとコスプレ衣装をしまってあるクローゼットの方に行くと、ナース服とナース帽を取り出す。 だが、熱でふらふらになっている俺には、それが限界だった。 ウイッグとハイソックスを出す気力もなく、俺はその場に倒れ込む。 ……いや、こんなところで倒れてちゃ駄目だ。 俺は高橋の歯科衛生士姿を見るまでは死ねん……。 高橋のマスクとナース服姿を思い浮かべて少し元気を取り戻した俺は、どうにか立ち上がると、ナース服とマスクを机の上に置いてベッドに戻った。 高橋のナース服を見るまでは、少しでも体力を温存しておかないと。 そう考えた俺は、しっかりと布団にくるまると再び目を閉じた。

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