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第6話 光長side

目を覚ますと暖かなものに囲まれて、綺麗な着物が掛けられていた。横を見ると先日出会った信義様が寝ている。 なぜこの方がいるのか、ここはどこなのか、私は死んではなかったのか。もしや、流した花が届いたから迎えに来てくれたのか。 揺り起こすと私を突き飛ばし混乱していたが、すぐに状況を察したのか、私の顔を見て何か言いたそうにしている。私も何も言わないから長い間無言で向き合っていると眠くなってくる。この人は一緒に寝て欲しいと頼めば寝てくれるのだろうか。家主様とは違う優しい人なのだろうか。 案の定、頼めばすぐに了承してくれた。初めての温もりは、ただひたすら心安らぐものだった。 あの日から信義様は何を言うこともなく私をここに置いてくれる。迷惑かもしれないが、優しい方だからそれを感じさせない。今更あの家に戻りたいとも思わないし、むしろここにずっといたかった。大好きな信義様とずっとここで。 「綺麗だな、光長は」 拾われた日に名前をもらった私は、庭を眺めながら座っていた。ここは川で流していた花が良く見える。帰ってきた彼は後ろから優しく私を抱きしめる。 「どうしてそのような顔をしているのだ」 「顔、ですか?」 「なにか嫌なことでもあったか?」 度々こんなふうに私の知らない私を見る彼に、そんなことはないと首を振る。あれを見てたまに昔の自分を思い出すだけだ。またあの頃に戻ってしまうのかと。それでも私を気遣う信義様を見るとまだ大丈夫だと思えた。 包まれた温もりは確実に私に移っている。否、移りすぎた。優しさや温もりを知った私は、きっともう一人では生きていけない。

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