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第2話
「はぁっ、あっ……あっ……ああっ
はぁ……はぁ………」
「雪路っ…………」
男が一度大きく揺れたと同時に中にどろっと注ぎ込まれた
「ぁ……ん………」
この感覚だけは陰間になって二年経った今でもどうも慣れなくて不快である
分厚い大きな雲に隠れた月が再び顔をだす頃、
情事を終えた客が満足して帰っていく
客の相手をした陰間の雪路はと言うと疲れ切って床の上で長い手足を投げ出し仰向けになっていた
「はぁ………」
「お疲れ様です」
深いため息を付いた雪路に部屋に入ってきた男性が声をかける
「海影 さん………」
海影と呼ばれたその男性
肩下まで伸びた黒髪に端正な顔立ちの彼は雪路の金剛だ
金剛とは謂わば陰間のお付き
陰間の性や芸の指南、身の回りの世話をする者の事
「ほら雪路、起きてください
湯浴 みへ参りませんと」
面倒だと言いたげな雪路だが普段温厚で穏やかな海影
しかし怒ると怖い彼を怒らせたくないと重い身体に鞭打って起き上がる
すると先程の客が出した精液がどろっと出て足を伝ってきて気持ち悪い
その気持ちが表に出てしまったようで
海影は苦笑いをしてそっと手拭いで拭いてくれた
「さて、参りましょう」
雪路は海影と共に部屋を出風呂場へと向かう
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