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第8話
雪路に向かい刀が振り上げられたその時だった
「雪路!!」
この見世の従事者複数人が入ってきて
政忠を取り押さえ海影が雪路をその場から連れ出した
別の部屋に避難し海影は全裸の雪路に羽織を着せ
下働きの少年に焼酎と包帯を持ってこさせる
「少し染みますよ」
そう言って海影は傷に焼酎をかけて消毒し
包帯を巻いて手当した
そして未だ震えの止まらない雪路の身体を抱きしめた
「海、影さ………」
「怖かったですね
こんな傷まで負って……」
暖かい言葉に雪路は海影の胸で涙を流す
その後政忠は近くにいた岡っ引きに連れていかれたと言う
取り敢えず雪路は傷がある程度癒えるまで休ませる事となった
その日の夜一人で眠るのが不案な雪路に
海影は今夜だけ一緒に寝ましょうと提案すると
ずっと沈んでいた雪路の顔がぱぁっと綻んだ
「あたたかいです」
「ふふっ、私もです」
こんな風に彼に触れられる事がとても幸せだと感じる
美しく優しく凛とした彼はずっと憧れの存在だった
今もその気持ちは変わらず
嗚呼、やはり海影が好きだと胸が苦しくなる
それが心身共に傷付いた今、こんな風に優しくされれば抑えきれなくなり目頭が熱くなる
「……雪路?
泣いていらっしゃるのですか?
やはりまだつらいですか?」
「……ちが……
違い…ます…………
私はっ、貴方が好きで…苦しい……」
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