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第13話
幼くしてここへやって来た雪路を見たとき
海影はなんと美しい子供なのだと思った
どんな子なのだろうと話してみるとその特別な容姿とは裏腹になんてことはない……
少し我の強い普通の子供だった
けれど彼は特に自分に懐いてくれてこの見世の子供の中で一番可愛いと正直言うと贔屓していた
そんな子に好きだと言われ動揺してしまっていた
ずっと弟のように接していたから彼の告白は全くの予想外
だからこれ以上傍にいて苦しめたくないと思うも、どうも自分も意識してしまっているようだ
それでも
「貴方の想いに応える事はできません
けれど貴方の傍を離れることも叶わぬようです
なるべく余計な想いを抱かせぬつもりですが
………申し訳ありません」
そう海影は頭を下げた
そんな彼に雪路は涙を流しながら頭をあげてほしいと頼むと二人は目が合った
あれから一度も目を合わせなかった海影
漸く自分を見てくれて雪路はそれだけで満足だった
「海影さん、お手を煩わせる事をしてしまい申し訳ございません
ですが私はただ貴方が傍にいてくれるだけで良いのです
どうか離れる時が来るまで傍に……
それが私の幸せでございます」
今はそれだけでいい
将来どうなるかなんて分からない
けれどどうか今はただこの幸せを噛み締めさせて下さい
雪路はそう願いながら海影の胸に顔を埋めた
すると海影の大きな手が頭を優しく包んでくれた
今はただこのままで____
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