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第14話
海影の腕に抱かれる雪路はふと思い出した
「根付け………」
「はい?」
「根付けを、私、捨ててしまいました!!」
失恋しあまつさえ海影が離れてしまったと絶望した雪路は彼に貰った根付けを捨ててしまった事を今猛烈に後悔する
すると雪路は早く見つけなければと
走って外に出て探し始めた
「雪路、いきなりそんな走り出してはしたないですよ」
「そんなことはどうでも良いです
それよりも根付け」
急いで走った為服も髪もが乱れているが
気にせずに草むらに膝を着き手で掻き分けながら探す
「そのくらいならまた買って差し上げるので
兎に角部屋に帰りましょう」
「駄目です
あれじゃないと駄目なんです!!」
こうなってしまえばテコでも動かない雪路
案外頑固な所がある為手を焼いている
けれど雪路だって譲れない物はある
だって大好きな海影が自分の為に選んでくれた世界に一つだけの物なのだから
一所懸命探す雪路に海影はため息をつくと
仕方ないと苦笑し一緒に探し始めた
「海影さん……?」
「どうせ見つかるまでここに居るのでしょう?
こんなこと知られれば楼主様に叱られます
さっさと見つけて戻りますよ」
「……はい」
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