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完結後の甘い物語 『雨の悪戯 2』

 そのまま丈とたわいもない話をしながらに荷造りをしていると、なにやら押し入れの奥に古びた木箱を見つけた。随分奥にしまい込んであるものだと思いながら、埃を払い取り出してみた。 「丈、これ何だろう? 」 「ん? さぁな」  丈は特に関心を示さないので見覚えがないようだ。じゃあ、この部屋を俺達の前に使っていた人のものだろうか。 「なぁ……この離れって、前は誰が使っていたんだ? 」 「そういえば私たちが小さい頃は夏休みに此処によく泊まっていたし、家族で移り住んでからは隣の部屋とこの部屋を兄さんたちと使っていた時期がある」 「へぇ……丈の小学生時代なんて、想像できないな」 「何故だ? 」 「なんか生まれた時から、丈はそのままな気がして、ははっ」 「……洋は口が悪くなったな」 「くくっ丈、俺は本当はこういう性格だよ、嫌になった? 」  お互い笑い合った。心からくだらないことで笑ってる……それが嬉しい。  それにしてもこの箱は一体?  そっと開けてみようかと思ったが、何故か俺が開けてはならない気がしたのでやめておいた。そうだ後で流さんにでも、聞いてみよう。  さて、午後はいよいよ仮住まいとなる部屋に荷物を運ぶことになる。 「洋くん、ちょっといいか。君たちの部屋を先に見てくれないか」 「はい」  流さんに案内された部屋は薄暗く、今まで長い間使っていなかったようで、かなりじめじめとしていた。 「悪いな。この寺は結構老朽化が進んでいて、まともに寝室として使えそうなのはここ位でさ。これでも掃除したんだぜ」 「大丈夫ですよ。二か月ほどの仮住まいだし」 「そうだよな。ここなら俺達の部屋からかなり離れているから、遠慮なくシテいいから」 「えっ遠慮なくって何を?」 「くくくっその顔可愛いな。思い当たるだろう?」 「なっなにを! 」 「夜も楽しめるってことだよ」  流さんの男らしい顔が近づいて来たと思ったら、耳元でこんなことを囁かれたので、かーっとのぼせそうになった。  丈の馬鹿!  あの日の夜あんなにしつこく抱くから、俺は声を堪えることが出来なくなって、かなりの醜態をまき散らしてしまった気がしていたら、案の定じゃないか。 「いいんだよ。洋くん恥ずかしがらなくても……だって新婚さんだもんな。当然当然」 「もう!流さん、揶揄わないでください! 」  手をひらひらさせながら悠然と去っていく、流さんの背中を呆然と見送った。  あっしまった。  さっきの箱のこと聞きそびれた。じゃあ翠さんに聞いてみようか。

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