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番外編 安志×涼 「乾いた心」 11

「安志さん……起きてよ」  抱きしめている涼のか弱い声で目覚めた。  恋人の声に起こされるなんて幸せだと思いつつ、まだ外は暗いし昨日悶々としすぎて眠りにつくのが遅くなったので、眠気の方が勝って、すぐには動けなかった。  ようやく体が覚醒してきたので、涼を呼ぼうとした瞬間に固まった。 「……抱いて欲しくて来たんだよ。愛して、愛させて欲しくて……」 「昨夜は帰って来る前に寝ちゃってごめん。起こしてくれたら良かったのに……」 「安志さんに会いたくてとまらなくて、来ちゃったよ」  涼、どうした…?  溢れるように俺を求める涼の声が甘く広がって、鼓膜まで蕩けそうだよ。  驚く程素直な愛の言葉が、春の雨のように優しくだよ降り注ぐ。  やがて涼は俺に縋るように抱きいて、そのまま可愛いキスをしてくれた。  幸せだ。  こんなに若くて可愛い恋人が、俺に夢中になってくれるなんて夢じゃないのか。  俺に抱かれに来てくたなんて、そんな夢みたいに嬉しいこと言うなんて……  涼のほっそりとした腰を抱きしめていた手に、思わず力を込めてしまった。  涼は俺が起きていたことを知り、恥じらった。 **** 「安志さん……大丈夫だから。お願い……求めて欲しい」  涼に煽られてしまえば、もう今までの我慢は何だったって思う程あっけなく崩れ落ちてしまう。  横向きに抱きしめていた涼の体を強引にシーツに沈め、その上に覆いかぶさる。 「何時までだ?」 「え……あ、六時にマネージャーが迎えに来る」 「分かった」  ちらっと時計をみれば、ちょうど四時を指していた。三十分あれば涼は家まで帰れるから、シャワーを浴びさせたりする時間を考えると一時間だ。  わずか一時間。  それでも貴重な一時間だ。  俺の一カ月の我慢は、煽られたことにより限界に達していた。 「酷くしそうだ」  思わずそう漏らすと、涼は頬を染めて頷いてくれた。 「しばらく覚えていられるように……強く抱いて欲しい」 「ふっ、無理言うな」  今日も早朝からモデルをすることを知っている。痕が付くような抱き方をするわけにいかないのに。 「安志さん、お……願い。早く……」  そうだ。こんなことで悩んでいる場合じゃない。限られた時間に、涼を思う存分に愛したい。  涼のシャツのボタンを外し、するりと脱がしベッドの下に放り投げ、腕の時計も外してやる。  俺とペアの時計が愛おしい。  知らなかったよ。そんなに入手困難なものだったのか。俺のために涼が奔走してくれたのかと思うと嬉しくなるな。  中に着ていたTシャツをまくり上げ、可愛い乳首が見える位置で手を止める。  そのまま顔を近づけて、小さな可愛い粒をペロペロと舐めてやる。 「んっ」  涼がビクンと揺れて反応し、刺激に条件反射のようにずり上がっていくので、両手で細い腰をしっかり掴むように抱いて、舌先を器用に動かした。  乳首を吸うように唇で挟み、さらに奥から舌で転がす。乳輪の全体を優しく大きく口に含んで、周りから絞るように動かしていく。  いつもより丹念に愛を込めて、でも激しく扱っていく。 「ん。やだ……安志さん……そこばっか、や…」  集中的に涼の胸を追いつめていく。  さらに涼の小さなヒップを片方の手で揉み込んでいく。  ジーンズを持ち上げる下半身がかなり苦しそうだが、まだ触れないでいた。 「あ……くるし…」  涼の胸が俺の唾液でべとべとになっていくのも構わず、ぴちゃぴちゃと求め続けた。  今はこの平らな胸が、愛おしい。  涼の心臓の鼓動を感じるこの胸に触れるのが好きだ。  涼の薄い胸は上下にはぁはぁと全速力で走った後のように喘いでいた。  腰を固定していた片方の手で、心臓の上に手をあててみる。 「涼、すごい……ドクドクいっているな」 「あ……だって……安志さんが沢山弄るから、僕……おかしくなりそうだ」 「乾いていた。涼に飢えて飢えて死にそうだった!」 「嬉しい……安志さん大人だから僕だけかと思っていた……僕も…乾いている」  涼の手が伸び、俺の背中にまわって、優しく抱きしめられた。  涼が俺を抱きしめているのか。  それはまるでふわりと桜の花びらが舞い落ちたように、ゆったりとスローモーションの映像のようだった。  年下の可憐で美人な俺の恋人は、俺をこんな風に甘やかしてくれるようになったのか。

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