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ある晴れた日に 19

 上気した洋の頬は、美しい薔薇色に染まっていた。  唇は熟れて濡れそぼり、感じる度に頭を振って乱れたせいで、長めのクセ毛が、汗ばんだ頬に張り付いていた。  こんなにも淫らな洋の顔を見られるのは、私だけだ。  そう思うと下半身の高まりが、また嵩を増してしまった。   いつまでも消えないのは、独占欲。  洋は出逢った時よりずっと逞しく男らしくなった。そして幸せになった。  だが……私が抱く時は、私に支配される洋が見たくなる。  こんなの酷いか、こんなの嫌か。  問いかけるように、洋の唇を荒々しく吸い上げる。 「んっ……ううっ」  彼の小ぶりなものを手ですっぽりと包み込んで扱きながら、胸への愛撫を続けると、洋はどんどん艶めいていく。 磨けば光る石のように、私の手の中で喘ぎ震える肢体が愛おしい。 「洋……愛している。こんな風に抱かせてくれて、ありがとう」 「丈……丈になら……俺、何をされてもいい」 「また、そんなことを」 「あっ……あっ……あうっ」  素早い動きで洋の屹立を扱いてやった。 「じょ……丈、丈……もうっ」  溢れ出た蜜がとろりと私の指に垂れたので、それをペロリと舐めると、洋は真っ赤になった。 「よせっ」 「そろそろ一度出せ」 「あああっ――」  洋が達せられるように、激しく擦って誘導してやると、洋は身体を強張らせて呆気なく達してしまった。 「んあっ――」  その後は身体を弛緩させ……はぁはぁと乱れた息で、薄い胸を上下させる姿も艶っぽい。  洋は扇情的な表情で、私を見上げてくる。 「丈……の、丈の……早く欲しい」 「よく言えたな」  潤滑剤をたっぷりあてがい、洋の足を大きく開かせた。   「恥ずかしい……」 「私にだけは見せろ」 「ん……」  何度抱いても初々しい反応が溜まらない。柔らかくなった洋のものを再び揉んでやると、またすぐに芯を作り出すのも愛おしい。 「もう感じているのか」 「言うな……っ」  潤滑剤で濡らした部分に、指をあてがった。 「ん……」 「また慎ましく閉じてしまったな」 「あっ……うっ」  洋の蕾に指をグッと挿入し内部の薄い襞を撫でて……くちゅりと音をわざと立てると、洋の腰が期待に震えた。   **** 「流……流……っ」  湯船に腰掛けた僕は、流を掻き抱き、悶えていた。  ひっきりなしに舞い降りてくる口づけはもう止まらない。  先ほどから胸も性器も、流の熱い息を浴び続けている。  僕……身体の内部から、じわりと濡れている。 「あ……そんなにしたら……」  このまま流に食べ尽くされそうで……怖いよ。 「翠、怖いのか」 「ん……少し」 「ふっ、相変わらず怖がりな翠だな」 「流が激し過ぎるんだ」 「ははっ、悪いな、がっつき過ぎたか」 「いや……嫌じゃ……ない」  顔を上げると、流と目が合った。 今はもう、こんなにも優しく視線が絡み合うのが嬉しいよ。  僕も目を細めると、翠が僕の頭を幼子のように撫でてくれた。  あぁ、駄目だ。僕は流に依存してしまう。  ここでは頑張らなくていい、甘えていい。  それが居心地良くて溜らない。 「ここでは翠の身体に負担がかかるな。茶室に布団を敷いたんだ」 「……うん」  お手前のための茶室で、僕は流と情を交わしている。    茶事の主人が客を招き、茶を出してもてなすために造られた空間なのに……僕が差し出すのは、僕の肉体だなんて。  だがそれでいい。何も恐れないよ。もう、どこまでも流と生きる道しか見えないのだから。 「流、ずっと傍にいるよ」 「翠……信じている。翠がすべてだ」  僕たちはこんなにも一直線に重なっている。  僕たちはこの道を、今日も明日も走っていく。  

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