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クリスマス特別編 月影寺の救世主 7

僕の脳裏には、先ほど見たハート型のイルミネーションが灯っていた。  流に全力で愛されている。  それが嬉しいよ。 「翠……翠……翠」  狂おしい程に僕を呼ぶ、流の声。さっきから流の匂いにずっと包まれている。   「あっ、あっ……」 「翠、気持ちいいか。感じているのか」 「うん……とても、いいよ」  流が僕の身体の全てに触れてくれるのが、嬉しくて溜まらない。  僕の頬を撫で、髪を梳いてくれるのも心地良いし、僕の顎を掴み強引に口づけするのも好きだ。  僕の腰を掴んで引き寄せ、下半身を摺り合わせられるのも、大きな手で太股の内側を辿られるのも、膨らんだ乳首を唇で啄まれるのも噛まれるのも……転がされるのも全部好きだ。 「流、もっと触れてくれ」 「もちろんだ」  両脚を左右に割られ、感じまくって硬くなった性器が露わになる。 「こんなにして……びしょびしょに濡れて」  先走りが腹部に滴り落ちていくのが、自分でも分かった。 「俺の翠がこんなに感じてくれるようになって嬉しいよ」 「ああぁっ……」    熱を帯びた息を下腹部に感じ、動揺した。  流がそこに顔を深く埋めていた。 「んん……っ、やっ……」 「翠はこれが好きだよな」 「ちがう……」 「して欲しいって顔に書いてあるぞ」 「ううっ……」 「まだ夢みたいだ。翠の全てをもらえるなんて」 「流……」  口腔内に含まれて吸われると、じゅっと水音がした。 「恥ずかしいよ、それは」 「もう隠すものもないのに?」 「イカせて……くれ」 「まだだ」  淫らな行為を受け続けて居る。  僕は大きく足を開き、全てを流に晒した。 「はやく……それ、流のおっきいの……欲しい」  いつの間にか後ろには指を挿入されていた。 「んんっ……もう早く……っ」 「駄目だ。駄々を捏ねるな。ちゃんと慣らしてからだ」  前だけではイカせてもらえない。それが分かっているのでじれったくて仕方がない。  潤滑剤を塗り込まれて、指の刺激で達しそうになるのを必死に我慢した。  ぷるぷると内股を震わせていると、流が僕の額を優しく撫でてくれた。 「翠、よく我慢したな。さぁ一緒にいこう」 「ん……」  僕は小さな子供のようにコクンと頷いて、流を抱きしめた。 「りゅ……う。イルミネーションきれいだった。すごく……よかった」 「あぁ、翠のためなら何でもするよ」  指が抜かれ質量のあるものが、ひくついた入り口から侵入してくる。  僕は……流のためにこの身を開く瞬間が好きだ。  流とひつとになれる時間が愛おしい。 「あっ……ん……っ」 「翠、メリークリスマス」 「流、メリークリスマス」 「兄でもなく住職でもなく……俺だけの翠になってくれるのが嬉しい」 「だから……僕は流に抱かれるのが好きだ」  流が突然赤面した。 「翠……出血大サービスだな。照れる……」  流が僕の心臓の下にキスを落としてくれる。  かつてそこには禍々しい火傷痕があった。だが……春に手術を受け、今はもう目立たなく滑らかな皮膚になった。 「あぁっ……」  その次の瞬間……流が腰をズンといれてくるので、嬌声をあげてしまった。 「翠、遠慮するな。声、聞かせてくれよ」 「流……あぁ、もう……もうっ」 「翠を目を閉じてみろ」 「ん……」  目を閉じればより一層、僕の中にいる流を感じた。 「熱い……おっきい……苦しいよ、もう……いきたい」    我慢できなくて自分で扱こうとしたら、制された。 「俺がやる」 「うん……流の手が好きだ」  流の手でイカされるのが好きだ。  甘い甘い、聖夜だ。  ただ一人の、流の唯一無二の人になれて嬉しい。  流の首筋に腕を回して、縋り付き……共に腰を打ち寄せ揺らした。  ふたりで高まっていく。 「もう……もう……っ」 「俺もだ」  熱い飛沫で、満たされていく。  僕と流はひとつになったまま、ギュッと抱き合った。  流の眼差しは熱を帯び、まだ僕を求めているのを感じた。 「流……もっとしよう。もっと僕を抱いてくれよ」 「翠は……自分の欲望に素直になったな」  これが僕らの聖夜。  素直になった僕は、心の赴くままに……流を一晩中求め続けた。  弾ける度に、脳裏に力強い光を放つ二つの星が並んで見えた。  あれは金星、銀星なのか。  まるで……兄弟星のようだ。  遠い昔、こうなる日を夢見て……あそこに旅立った人がいた。  そして今……僕たちはその星を地上で見上げている。 補足…… **** 本日の兄弟星のエピソードは『夕凪の空、京の香り』心根 12とリンクしています。    

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