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第3部 プロローグ

 夜空を見上げれば、豊穣の月が静かに浮かんでいる。  清涼とした月光を全身に浴びれば、全てが浄化されていく。    思慕の念を抱き、この世に生まれた俺は、ようやく巡り逢ったのだ。  丈……  君の名を呼べば、俺の乾きは満たされる。  だから、君も俺の名を呼んでくれ。  洋と――  いつの時代も、俺の名は同じだ。  君に見つけてもらうために、授かった名前だから。  この先の未来は、俺たちだけの世界となる。  過去はもう関係ない。  影響されない。  この手で、この足で、築いていくものなんだ。  丈……お前の傍にいたいんだ。  俺は一分一秒でも長く、この世でお前と過ごしたい。  だから希望岬に灯台を建てよう。  今度は俺たちが灯になっていけたら……  そんなことを、夢見ているよ。  丈、お前が傍にいてくれるから、俺は明るい夢を見られるようになった。      

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