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つづき
まっかっかのサトルさん!いやあ、タマゲタ、ビックリ、耳まで真っ赤で超かわいいんですけど!悪戯が見つかって困っているチビッコみたいな可愛さっていうの?よしよし、許しちゃう~な気分。抱きついてギュウギュウしたらサトルがもがく。
「ミネ!離せって!」
「や~~だね。サトル超かわいい~。すっげ~かわいい!」
「かわいくない!俺は男だっ!」
にゃははは。ハルみたいなかわい子ちゃん顔じゃなくても、男は可愛くなれるのか。発見だな、これは。でも鉄仮面飯塚が可愛いはない!あ~でもハルはかわいいって言うよな、飯塚のこと。
「村崎!てめえ何してやがる!武本から離れろ!!!」
凄まじい叫び声のような怒鳴り声にビクってなった。ついでに腕の中のサトルもビクっとした。おそるおそる振り向くと、そこにはギラリと光る包丁片手の鬼瓦と化した飯塚。
こええ~~おっかねえ~~!!
パっと離れましたよ、もちろん。刺されたくないし、ナイフみたいに飛んできたら恐ろしい。出雲の神様が宿った刃物に身を切られるなんて、愛に無縁な一生になること間違いなし。
「ちょっと、じゃれただけじゃんか~サトルは飯塚だけのものじゃないし」
「いや!俺だけのものだ!」
「俺はモノじゃない!とにかく包丁おろせ!俺のプレゼントを凶器にするな!」
「いい加減にしてください!!!!!!!!」
<<しーん>>
「今日のランチは10名様のご予約をいただいてるし、僕とトアさんだけじゃ店開けられません!いつまでもサボっているなら、僕とトアさん帰りますよ!本気ですからね!」
いや、それは大いに困る。それは絶対だめ。
「飯塚さんも色ボケオーラをひっこめてください。いつにも増して幸せオーラを垂れ流しているせいで、女性のお客さんから色々聞かれて正直迷惑です。彼女はいるのか、結婚しているのか、あの素敵な人は誰ですか、名前教えてください。毎日働いているのですか?休みはいつですか?歳はいくつですか?僕は飯塚豆知識人間じゃない。僕のサービスもですが、何より料理が二の次みたいになるのが本当に嫌です!
バビっといつもの飯塚さんに戻ってください。理さんもあんまり飯塚さんをメロメロにしないでくださいよ、余波がでかすぎなんです。お二人は!」
はあはあ言いながら一気にまくしたてたハル。ほんと……ごめんよ。
「悪かったよ、ハル」
「まったくですよ、ミネさんまでキャッキャして」
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