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つづき
「あの……」
トアがそろそろと手を挙げた。答えに自信のない眼鏡秀才君みたい。
「どうして飯塚さんがサトルさんにメロメロって事に?色ボケってどういうことなんでしょうか」
「トアさん、何を今更です。飯塚さんと武本さんは恋人同士です」
「えっ!!!!」
ハル……トアは知らないのよ。言ってないのよ。言うべきかどうしようかサトルはお悩み中だったのよ。
これぞまさに驚天動地といったトアの顔。うむ、俺がなんとかするしかあるまい。
「トア、これはSABUROの秘密その1だ」
「は?」
「SABUROの秘密は全部で20ある。今聞いたその1は最初の項目でしかない。これで驚いていたら20なんか聞いたらショック死してしまうかもしれないぞ。ちなみにSABUROの秘密を知ることができるのは、仲間と認められた者だけだ。トアはめでたくその資格を得たということだ。おめでとう!」
<< しーん >>
「では僕がもうひとつ教えてますね。SABUROの秘密その2。北川正明はゲイである」
ハル!適応力高すぎだって!(トア驚天動地その2)
トアは「あなたも?」な感じで俺を指差した。だから顔の前で「いやいや違います」と手を横にして振る。隣のサトルと厨房の中の飯塚も同じリアクションだった。まぎらわしい!
「ええと……その……驚いたのは嘘ではありません。でもよく考えてみたら、SABUROの方たちに「好きだ」なんて言われたら考えますもんね……アリかなって。
ということはですよ!女性だけではなく男性も視野にいれたら50%+50%で恋の確率100%ってことになりますよね!僕にも確実に春がくるってことですよね!
やった~~!!」
トアは見た目充分なのに、女子が離れて行ってしまうのは……どうにもならないこのズレっぷりと、延々終わらないエンタメ情報のみの会話が原因だと思う。
50%+50%=100%ではないのだよ。1+1=2ってだけで、恋の確立が2倍になりましたって事。
ん?ちょっとまてよ。そう考えるとバリバリなリーマンが相手だったりするとお互いの仕事を尊重したうえで愛を囁いちゃったりできるってこと?それはなかなかに魅力的じゃないの。でも、男相手に勃つのかっていう大問題がある。
愛があれば可能なわけ?愛があればフェラもできる?…………うううぅぅぅぅ 出来る気しねえ!!!
「ミネさん」
「……はい」
「ろくでもない妄想してるのならやめてください。本気で職場放棄しますよ!」
「……ごめんなさい」
俺は心に決めた。ハルだけは絶対に怒らせない。だって怖いんだもん!
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