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つづき
昼休憩の指示、数字の報告、集客データのまとめとチェック、商談のフォロー、情報取り、グッズ売り場のチェック。
やらなくてはいけないことはワンサカある。昼だって弁当の立ち食いで味わっている暇もない。 ペットボトルのお茶で飲み下しながら考える。
あああ、ラグーのパスタが食べたい!実巳君に「すずさ~~ん」って呼ばれてホンワカしたい。しかしここは遠く離れた大阪。いくら札幌に思いを馳せてもあまりに虚しい。弁当の立ち食いはさらに虚しい。この幕の内がパニーニだったらいいのに!
「鈴木さん!俺にはよくわからないですけど、男性二人連れが来ました」
「わかった、すぐ行く!」
食道あたりでつっかえて、胃袋に落ちる事を拒否している幕の内のおかずをゴクンとお茶で飲み下して手早く化粧を直す。来たわね、男子二人組!
正木にマークさせているお客様の種類は複数あるけれど、この男子二人連れというのがミソ。 扱っている商品ゆえか、結構いらっしゃるのだ。カップルの男性二人組が。そして彼らの購入率は高い。彼らのハートをぐっと掴むスペシャリストがいるのです、その名は塚マネージャー。
会場に戻る途中、彼らとすれ違った。ニコニコと楽しそうに話しながら商品を見て指をさしたり、驚いたりしている。しばし観察。うむ、これはカップルさんね。
何故わかるのかと正木によく聞かれる。何故だかわかる、なんというか距離感かな。友達同士とは違う互いの立ち位置があるのよね、微妙な差が。
くるっとUターンして会場に急ぎ足で戻りマネージャーを探す。商談中だったけれど、目くばせするとテーブルを立った。
「顧客?」
「いいや、たぶん当たりだとおもう。20代男子二人」
ニヤリとする塚マネージャー。彼女は会場内に入ってきた二人を見て頷いた。
「だね、あれは私がつくからフリーにしておいて。今クロージングかけてもうちょいだから、決まればすぐ抜けるね。三村じゃ覚束ないから、契約記入のときフォローお願いするかもしれない」
「問題なし、支払いは信販?カード?」
「たぶんカード」
「了解。ちなみにあの二人DM、2回目の来場。兵庫から来てる」
「2回目ね。いい頃合いだわ」
「そういうこと」
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