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つづき

「なんとかなりましたね」 「ほんと、よかったわ」  105%の達成率で展示会を終えて一安心。関空のイスに座りこむ正木の顔はお疲れだ。それは私も同じだろう、5日間の展示会は目標値のクリアによって無事終了した。 「この販促パターンを何か所かでやってみるのもいいかもしれないね」 「ですが大規模都市じゃないと無理ですよね。札幌ですらリスト数からみて、ちょっと厳しいですよ」 「そうよね。電波のツテがないから告知形式は難しいし。今回105%だけど、単独自社開催だったら万々歳。でも主催がついた場合は120%くらいで通常会場の100%ラインだから。そこのバランスをどうとるかってことになる」 「でも80%くらいでもうちはリスクなしですから、赤がでる可能性は低くなります。 物は考え様じゃないですか?」 「でもね、キャッシュフローの問題があるでしょ。向こうに入金されてから歩率分をさっぴいて振り込まれるから、1ケ月よけいに置いておかれることになる。数字がデカイだけにバンバン突っ込める企画じゃないよ」 「あああ、そっちの問題もあったか」  一つ終われば、次、それを終えても次がある。えんえん繰り返される仕事。あ~全部放り投げて南の島にでも行きたい気分。 「そういえば、この連休で前倒したDM。3つ先の会場分まで刷ったんだっけ?」 「ええ、まとめて発注済です」 「その先の宣材は少し見直した方がいいかな。新作のアプローチだけど途中から営業トークを少し変えたらミートしたんだよね。資料も作り直したし」 「なんで俺達毎日キンコーズ行ってるんだって感じでしたよね。稟議あげてプリンター買ってもらいましょうよ」 「許可はおりそうだけど、あれだけ頻繁に移動するから、すぐ壊れそうじゃない?」 「そんなことまで構ってられません。エアパッキンでグルグル巻にして頑丈な箱にいれたら何とかなりますよ。会場おわったらサクっと店でごはん食べたいじゃないですか。美味しい所なんか22:00くらいで閉まっちゃうから、出張先で美味しいもの食べた記憶がありません!非生産部門にだっていいことあってもよくないですか?俺はいいと思います!」 「じゃあ、正木が稟議あげて。そして休み明け早々にSONに連絡。宣材変更の打ち合わせをうるから。あと先の会場の販促企画もたてなくちゃいけないし、アメリカから送られてきたDVDあるでしょ?あれ会場で流すプロモーションビデオに編集するよ。渉外に映像のインタビューを和訳して紙に起こすように頼んできたからSONの石田さんに言ってスタジオ押さえてもらわないと。 それと来週は面接と研修があるから、正木に仕事をどんと振ることになるから覚悟しておくように。ポカはナシでよろしく。充分なフォローはできないからそのつもりで」 「鈴木さん全部メモでください。メールでPCに送ってください。 今の俺の脳みそは考える事を拒否しています。何も覚えられない状態です!」  まあ、仕方がない、長い5日間だった。

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