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つづき

 誰かを必要とすることは弱さと強さを生む。弱さは自分が非力な人間であることを自覚させ、強さは自分を成長させる。だから一緒にいることは大事で、それに言葉を重ねることは必要不可欠だ。好きだということ、必要だということを相手に言い募り、自分の隣にいてくれと伝える。  好きという気持ちだけでは足りない。  それをとうに飛び越えてしまっている自分の心がどれだけのものか、それを伝えるために必死になる。だから肌を合わせて身体を開き、互いが対であることを全身で訴えるのだろう。  SEXは欲望の現れでも性欲処理でもない。互いが自分であることの証、俺だけがお前と合致できる存在だという叫びだ。 「ベッドに帰ろう、風邪をひく」  飯塚の言葉が深くに沁みこんでいく。  二人が寄り添う場所、そこはベッドの上でそこにいる限り、感じることは飯塚の存在だけだ。その体温と腕の強さと暖かさ、匂い。  五感がすべて満たされる場所。大きな安堵と満たされる心を実感できるから、そうだな、ベッドは帰る場所だな、飯塚。  とても自然に、なんの前触れもなく口をついて言葉になった。 「愛しているって、こういう感覚なんだ」  飯塚の指がピクリとした。 「家族になりたい、そう言ったよな。ちゃんとわかったよ。惚れた腫れたの域を超えたところに俺達はいる。 とても自然にそれを感じたんだ、今。俺はお前をちゃんと愛している、それが嬉しい」 「……武本」 「衛」 「……えっ」 「家族は苗字で互いを呼び合わない。家族を実感したとたんに「衛」が普通に思えた」 「さ……理」  繋がった指先は強く引かれて力強い腕に体が取りこまれる。 「帰ろう。もう夜空はいらないだろう?」  ああ、そうだな。俺達の場所に、互いだけが存在する場所に帰って安心しよう。それを実感できる、その相手がお前でよかったよ。  愛してる……衛。

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