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つづき
「お疲れ~どうしちゃったの雁首そろえて」
ミネさんが買い物袋を提げて帰ってきた。デパートの「京都老舗づくし」という物産展に行ってきたのです。普段見ないものに接することは大事らしい。
「今日の晩飯は弁当で~す」
「お弁当を買ってきたのですか?」
「そ、盛り付けとか彩の参考にしつつ、ついでに腹も満たす。ん?そっちは本?」
「飯塚さんが買ってきた本について説明をうけていたとこです。ミネさんは本読んだりします?」
ミネさんは厨房のコールドテーブルにビニールをしまうと、カウンター越しに僕たちを見ております。まさにこの店はミネさんの生息場所。どこに立とうがしっくり決まる格好よさ。
「読まないね~でもドラマは好きだな」
ドラマですか?朝の連続なんとかドラマや月9とか、割に女子が良く見ているアレですか?
なんだか少し残念な気がするのは何故でしょうか?愛してるとか好きとか、離れたとかくっついたっていうのを連続して追うわけですよね。う~~ん。
はっ!もしや韓流とか言わないですよね!お願いしますよ、ミネさん。
「ド、ドラマって?」
聞いているハルさんの顔が聞きたくないよ~といった具合です、よくわかります。
「俺CSっ子だから。海外ドラマばっか見てる。お気に入りは「ブラックリスト」早くこいシーズン3!だし、「NCIS」の次のシーズン、早く来い!「NCIS.LA」も好き。「CSI」シリーズは続々終焉になって今最後のシーズンだ。それが終われば「CSIサイバー」が始まるのだ!「クリミナルマインド」は外せないし、「ジャッジメント」もけっこう見れる。「クローザー」ファンとしては最初「MAJOR CRIMES」はど~なの?って思ったけど、見ているとこれが結構面白いのよ。
ハル覚悟しておけよ、リビングでつねに放映されているのは海外ドラマだけだ。地上波を見たいのなら自室にテレビを用意しなさい」
「えええ!」
「ハルは海外ドラマ見ないの?」
「友人にすすめられた「24」が面白い言うので借りたのですが、どうにも乗り切れず。アイデアはいいのでしょうがピンとこなくて、それから海外ドラマはスルーしています」
「許さん」
「へ?」
「ドラマの面白さを徹底的に仕込んでやるから、そのつもりで。ハルは来年から海外ドラマ通になっていただこう!J:COMもWOWOWもばっちりだ、どんとこい!」
映画担当→僕
小説担当→飯塚さん
漫画担当→理さん
海外ドラマ担当→ミネさん
よってたかってハルさんを巻きこんだから、ハルさんが最強のバッキバキのエンタメ男子になってしまいませんか?確実になってしまいます。これは負けてはいられない、僕だってスペシャリストを目指すぞ。
「飯塚さん!僕にもおすすめ本を貸してください、是非そうしてください!ミネさん、見るべきドラマリストを作りますので、タイトル教えてください!
エンタメ男子の座は誰にも渡すまい!」
ハルさんがトコトコ僕の横にやってきて、ニッコリ笑って言いました。
「トアさん、ちゃんと「グリーンマイル」貸してくださいね」
ハ、ハルさん!あなたはやはり最高です!
その後ギュウギュウする僕から逃げ出そうとしたハルさんを、面白がったミネさんと飯塚さんが加わりまして、ハルさんがズタボロになりました。皆でゲラゲラ笑いながら。
やはりここは最高です!「SABURO」万歳!
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