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つづき

「あとはもう好みの問題になる。ツルツルの食感が好き、ザラザラのほうがいい。細麺が好み、太麺がいい、それは個人差になるからね。 オリーブオイルも同じ、軽い味わいのもの、ガツンとくるのもあるし、苦味が強いオイルもある。塩にも色々種類があるから、組合せは無限にあるよね。 だからイタリアではマンマの味が一番おいしいとされていて、その家庭ごとの組み合わせがレシピ。日本だって使う醤油、だし、具材の切り方、煮る時間、それぞれの味があるでしょ? なんで美味しくないのかな~って理由がわからないままだと、料理は楽しくない。 食べてくれる人が美味しいって言ってくれるのが、一番嬉しくて楽しいことだよね」  知らない事を自分に取り入れた時の「嬉しい」そんな顔がちらほら見えて、なんとなく初回にしてはいいんじゃないの?と自分に合格点です。 「それじゃあ、実際作ってみましょうか。右から順番に4人一組で5テーブルに分かれてください。次回も参加しようかなと思ってくれている人。服装はTシャツでいいよ?」  自分はそういうわけにいかないので、白衣の上に前掛けを結ぶ。これをすると気が引き締まる。お仕事のスイッチね。  キュと結んでもう一度結んで玉結び。左のたれた紐をきちんと畳んで結び目の上に置く、右側の余った紐をその上をくるむようにして巻きつけてウエストに折り込む。これで見た目すっきり、絶対にほどけてこない。  参加者の皆さんは持参のエプロン。カラフルだね、いっきに花畑な感じ。 「カセットコンロ2台ありますね、まず片方でお湯をわかしてください。そしてフライパンにガーリックを入れて、オリーブオイルも。まだ火はつけない。 まずは最初に作ってみますので、良く見ていてください。 オリーブオイルは加熱しないほうがいいオイルです。煙がでるくらい加熱するのは御法度。冷たいフライパンにニンニクとオイルいれますよ。で、ほんとはこっから弱火で5分近く温めてニンニクの風味をひきだしたいとこなんだけど、そんなことしたらパスタが茹であがっちゃう。なので、店ではこのニンニクを使っています。 ニンニクをむいて芽は取り除きます。それをフードプロセッサでみじん切り状態にしてガラスの広口瓶にいれます。にんにくから2cmくらい上までオイルいれてレンジで5~7分くらい加熱。 オイルごとニンニクが使える便利もの。これ冷蔵庫に備蓄しておくと何かと使えます。 中華や他の料理に使いたい場合はオイルをキャノーラに変えて、パスタの時はオリーブオイルをフライパンに入れればOK。 火つけますよ、強火はだめで~す。んでパスタを茹でる、まず塩投入、そんで味見」  うむ、素敵な塩味。ばっちりだ。 「はい、パスタの分量は店によって違うけどSABUROは100g、これは多い方だと思う。 結束パスタも100g。みなさんは自分の腹具合や家族の喰いっぷりで麺の量を決めればいいですね。ちなみに今日は割り当て一人100g。店と同じ分量です」  タイマーを5分にセットする。キッチンタイマーは必須。パスタはもちろん圧力鍋の時、ブロッコリーや葉物、枝豆やスナックエンドウみたいな豆ものを茹でるときは時間が大事だから。ブニョブニョのブロッコリーなんか考えただけでも恐ろしい。 「ニンニクのいい香りがしてきたらトマトソース投入。目安は一人分で190gです。 トマトソースの作り方はいたって簡単。トマト缶ひとつに対してオリーブオイルが大2程度、ローリエ1枚。 これを中弱火で半量になるまで煮詰めるだけ。1回分ずつ小さいジップロックに入れて冷凍しておけるので便利です。ソースにはニンニクはいれない。今みたいにパスタに絡めるときに入れるので、ソース段階では必要なしです。味付けは塩のみ、コショウはいれない。 イタリアのパスタはコショウがはいっていないことが多いのですよ。 あ~でもカルボナーラとかボロネーゼ的なのには入っているけどね。 なんか旨みが足りんな~な時はひとつまみの砂糖をいれます。甘味ではなくコクだしとしての砂糖ね。 ソースが詰まってる感があるときは茹で汁を加えて調整です」 ピピピピピ ピピピピピピ 「いっきに仕上げます!」  ザバーと麺をザルにあけてフライパンの中に。トングでソースをからめれば、シンプルだけど美味しいポモドーロのできあがり。 「きれいに高く盛り付けましょう。最期の仕上げが不味いと美味しさ半減ですからね。そしてバジルオイルを上にのせます。バジルとオリーブオイルと松の実をミキサーでウィ~~~ン。これは冷凍できるし、凍ったままの状態で削っりとってパスタの上にのせればすぐ溶ける。たくさん作っておけばジェノベーゼだって作れちゃうのでハーブを植えておくと便利です。はい出来上がり! んじゃ皆さんもやってみて」  とたんにワイワイガヤガヤとなるテーブルをみまわした。昔の家庭科の時間みたいだよね。 デモンストレーションのポモドーロはサトルのところに持っていくことにした。

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