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つづき

「例えばだよ、お父さんとお母さんがさ「実は我々はSMによって愛を確かめる夫婦なんだよ。是非我々の愛のかたちを見てくれ」なんて頼まれてSMセックスシーンを見せられたら、どう思う?」 「あまりに極端な例えですよ!」 「俺はね、うわ~見たくなかった、知りたくなかった。優しいお父さんとお母さんでいてほしかった。そう思うわけ。だからね、言わないことにした。嘘をついているわけじゃない、親孝行の隠し事だよ。 そのへんふまえて、一度サトと話をしてみてよ。すぐじゃなくていいから、サト自身が悩みぬく時間は必要だ。 衛を好きだと気が付いて悩んで、悩んで、そしてハルがヒントをくれてサトは浮上した。 今度は衛がそれをしてやってくれるか?これは二人の事だし、家族だからこその悩みだから」 「そうします。約束します」 「素直でよろしい。それと月1回くらいは帰ってこいよ。やっぱり衛の髪は俺が切ってやりたいし、たまにはハルだって構いたい。二人揃って来るのが恥ずかしければ、ハルを連れて来れば問題ないだろ?」  逢うのは二度目だというのに、とても深く自分の中に入り込んでくる兄という存在。家族として交わされる言葉は俺と理にとって必要なものが沢山込められている。この人ともっと話をしたい、そう思った。 「あと何度か帰ってきたら、「兄さん」を卒業できる気がします」 「だろ?兄さん呼ばれるたびに、昔の男を思い出しちゃうのは紗江に対してとても罪悪感がある。明るく「よし兄!」と呼んでくれることを心待ちにしているよ」 「わかりました」 「さて、仕上げの前にシャンプーするよ」  綺麗にカットされた自分の顔と、その後ろに映りこむ兄さんの顔。そこにある二つの顔はとても柔らかい表情でホンワリしていた。  素直に甘えられる存在。それを俺にくれた理に「ありがとう」を言おう。  愛しているという言葉を添えて。

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