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つづき
「レンタカー借りる?」
いきなり、そこか!不意打ちだろう。
「ああ……だね。バスもあるだろうけど、たまにはドライブもいいね」
「そうだな。なんでここを選んだ?」
「前から一度行きたかったから。それに登別の泉質が好きだし、寒くなってきたから露天が気持ちいいだろう。懐石だから普段食べているものと違うから衛の勉強にもなるだろうし。
たまにはお客さんになってサービスをうけて参考にしたい」
「ありがとう」
「どういたしまして」
俺が手配したのは登別温泉の「滝乃屋」だ。昔からある割烹旅館として有名な宿。何年か前にリニューアルした時から一度いってみたい、そう思っていた所。
部屋食じゃないけれど食事をする場所は個室だ。それに内風呂がついているのもポイントが高い。露天風呂もいいし大きな風呂は気持ちがいいが、あまり長居はしたくないのが本音。だってさ、衛の素っ裸をどこぞの知らん男に披露するということじゃないか。相手にとってはただの他人の裸であっても、俺にとってはまったく別物だ。自分の彼女を男湯に連れて行って風呂入るか?ってのとイコールなわけだ、俺にとっては。
「うち風呂がついているんだ」
衛はちょっと真剣な顔をして俺を見た、なに?だめ?
「いや、それは願ったりだ。理が風呂に入っている姿を他人に晒すのは気が進まない。
ついでにいえば浴衣も嫌。」
俺達二人とも、脳みそ膿んでいるな。
「それは俺も同意見だ。でも露天は捨てがたいから入るけど、人のいなさそうな時間帯を選んで短時間で堪能しよう」
「そうだな」
「22日はランチ終わってから出発になるから着くと夕食の時間帯だね。」
「ああ、そうだったな。22・23日はプチ連休だった。」
心穏やかに休める最後のタイミングだとミネが決めた。日曜のランチだけして夜の営業と翌日の月曜祝日を休みにしたから、ちょっとした連休気分を味わえる。
登別は札幌からも近いけど温泉ムードは満点だ、お湯もいい。
懐石料理や温泉・・・楽しくなってきた。
「嬉しそうだな」
「そりゃあね。衛とどっかいくのは初めてだし」
「温泉ならこういう連休があれば行けるな。来年も行こうか。本当は理と三十三間堂に行きたいけど、2泊3日は欲しいところだから難しいな」
「え?……覚えてたの?」
「覚えてるよ、一昨年の誕生会の日だったな」
「……うん」
やっぱり、俺……衛が好きだ。
「チーズが固まらないうちに食べようぜ」
とりわけている衛の指先を見ながらジワジワ実感した。衛のこと、すっごく好きだってこと。俺のこと好きになってくれてよかった。一緒にいられてよかった。
うん……よかった。 衛とで……よかった。
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