197 / 271

つづき

「おはようございます!」 「あれ?どしたの?」  思った通りミネさんは店にいて年賀状の宛名書きをしていた。店内には作業服の男性が2人でストーブに取り組んでいました。へえ、格好いいストーブじゃないですか!鋳物っぽいです!まさか薪ストーブ? 「することもなくてですね、それに「ブラックリスト」がすごすぎて朝まで見てしまったら、興奮を放っておけなくて。それとジャームス・スペイダーのDVDをお届けにきました。僕も宛名書きしますよ」 「暇なの?」 「ええ、それもものすごく」  ミネさんはニヘラっと笑って立ち上がった。 「トア、コーヒーでいい?外寒かったろ?雪だし」 「いえいえ、自分で淹れます。宛名書きの分担を分けてくれませんか?その間にコーヒーもってきますので」 「さっき落したからさ、ポットまんま持ってきてくれる?」 「了解です!」  そのあと黙々と宛名書きです。ミネさんは絶対手書き!に拘ったので一人一人コツコツ書くことになりました。なんでも理さんと飯塚さんはお泊りデートらしく(ちょっと照れました)ハルさんは実家に顔だしにいったようです。ミネさんは宛名を担当したから、あとの3人に一言メッセージを分担させる!と息巻いております。 「住所と名前、それと一言メッセージ。どっちが文字数多いのかな~」  別に答えをほしがっていない独り言をポツポツ挟みながら穏やかに休日は過ぎていきます。ストーブに目を向けると黒い本体に黒い煙突が入口上の位置に開けられた穴まで繋がっていました。へえ~なんか煙突って雰囲気がありますね。 「ミネさん、なんかいいですね」 「ああ~思ったよりね。夏は暑苦しいかもしれないけどオブジェとしてゴリ押しする」  近くで見たくなって、傍に行くとドンと黒いストーブがいい顔をして座っています。もとは6人掛けのテーブルだったけど寒い場所で落ち着かない席。どうしてもという時以外は案内しない席。話し合ってテーブルをやめてストーブを置くことにしたのです。  ミネさんは作業の人と確認をしているから、間もなく終わるだろう。せっかくだから、ちょっと遅い昼を食べにいこうかな。  ん?あれ?ちょっとひらめいた! 「トア~書くの飽きたし作業は終わった。無事ストーブさんが仲間入り。なんか食いにいく?腹減ってない?」 「ミネさん!!」 「はい?!なんでしょうか、トアさん」 「ちょっとした思いつきが」  僕はその思いつきをミネさんに言ってみた。最初は「?」だったミネさんの顔がどんどんキラキラしてくる。やっぱり、あったらいいと思いませんか?思いますよね! 「トア!君は素晴らしい!寸法計ろう。そして昼飯はあとにしてお出かけしよう!」 「どこにですか?」 「そりゃあ、もちろん、この素晴らしい案を実現させるためにお買いものに。トアは言いだしっぺなんだから付き合いなさい!」 「え?ミネさんの好みでいいじゃないですか」 「なにいってんの~こういうのって相談してあ~だこ~だ言いながら決めるのが楽しいんだよ? うわ、もしかして俺達カップルに思われちゃったりして!ま、いいけど、トアなら、男前だし」 「ミミミミネさん!なにをおっしゃるのですか!」 「ニャハハハ~でも俺の本心だもん。うし!善は急げだ、トア、メジャー持ってきて!」  ということで、僕は初めてミネさんと「お買いものデート」しました。ブラックリストの話しをしたり、持ってきたDVDのあらすじをちょっと教えたり。  友達とも、同僚とも、彼女とも(そりゃあ、ちゃんといた時期もあるのです!)違う、なんだか素敵な時間で、楽しい休日になりました。  さて、僕達のお買いものが何だったか?それはそのうち皆さんも知ることになるでしょう。  それまで内緒です!

ともだちにシェアしよう!