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12年……重ねた時間の目指す先 9

「わからんが、漠然とした不安。そして何やってるんだ俺っていう虚無感。これがつねに燻っていて気持ちが上向かない。なんだろうな、歳なのかな」 歳であることは間違いない。でもそれだけではない。いっそうのこと、全てを指摘してやるほうがギイの為になるのかもしれない。俺だって心の底に隠している物をぶちまける頃合いな気がしてきた。 望む結果にならなかったとしても、それはそれだと割り切れる。何故かそう思えた。 今朝、ヨーグルトと卵ぐらいは買おうと決めた。その後、口にした料理は身体に沁みた。それは俺が変わろうとしている、変わりたいと願う本心のような気がしたからだ。 このままズルズルと時間だけをやり過ごす穏便な方法だってある。現にそうやって時間を重ねてきた。 それでも、やっぱり言ってしまおう。ワインは残り少ない。あと一杯ずつ飲めば空になるから残り時間は少ない。結果が伴わなければ、ここから一人で帰ればいいだけじゃないか。 「ギイ。うすうす気づいているはずだぞ、言ってもいいんだな」 「……なにを?」 「気持ちが落ちて浮き上がってこないのは、自分が一人だと知ってしまったからだ。 俺もお前も「寂しい」に心が弱っている、心が歳をとった、そうだろ?」 ギイがワインを飲み下すコクリという音が聞こえたような気がした。俺の言葉がギイの胸の中に吸い込まれた音。ゆっくりグラスをテーブルに置き口元を覆う。視線はテーブルに向けられたままで俺を見ていない。だが言葉をゆっくりと咀嚼しているのがわかる。 節操なしかもしれないが、頭の悪い男ではない。 残りのワインをそれぞれのグラスに注ぎ足し、ボトルを空けた。

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