216 / 271

december.3.2015 トアの家でハル想う

「うわ~お邪魔します!トアさんのお家初訪問ですね」 「そう言われると照れますね」 「こういうの置いておけば鍵とかワチャワチャしないのですね」 「あ~この皿ですか?ここに引っ越した時に兄がプレゼントしてくれました」 「へえ、お兄さんいるのですか」 「歳が離れていますから、兄というか叔父さんみたいな気になりますよ、たまに。 玄関で立ち話もなんですからどうぞどうぞ」  今日の中休みにハルさんとマッタリしていたら、トアさんの部屋ってどんなところですか?と聞かれました。分譲マンションの賃貸で、2DKのなんてことのない部屋です。そう答えたら、今度遊びにいきたいです。そんなことを言ってくれたので舞い上がりました。この部屋に人が来ることは滅多にありません。  友人とは外で食事しながらが定番だし、SABUROで働くようになってからは休みが合わなくなりました。それに仕事あがりが遅いので飲み会に誘われる機会が激減です。  ますますDVDとお友達な毎日だったので、勢いのあまり「今日はどうですか!」と口走ってしまいました。洗濯は月曜にしたので部屋にブラブラしていないし、掃除も同じくすませてあります。買い物だって行ったので冷蔵庫にはビールも入っているし、色々コンディションがバッチリだったので。  リビング兼キッチンのスペースはほぼキッチン化しております。それほど料理は得意じゃないですが、映画に出て来る料理が美味しそうだと真似をしたくなります。  結果ですか?映画にでてくるキラキラした一皿になったものはひとつもありません。鼻をつまんで食べることも……特に「ディナーラッシュ」にでてくるロブスターの料理。生クリームにバニラビーンズ、揚げたパスタとロブスター、あとレモンだったかな?ロブスターがないのでブラックタイガーにしましたが、出資のわりに味はイマイチでした。普通にクリーム煮にしたほうが美味しかったと思われます。なんとかキュイジーヌとか出てきますが、あれもさっぱりわかりません。味に関して僕は凡人なのでしょう。  自慢のリビングには大画面のテレビがあります。あとはソファとテーブルだけ。テレビ周りがゴチャゴチャしていると画面の邪魔になるので、DVDは後ろ側にあるクローゼットに全て格納しております。DVDをだすために、いちいちソファを少し動かさなくちゃいけないので、収納場所を寝室に移動させようか思案中。寝室はベッドとタンスにクローゼットしかないですから、場所はあるのです。 「ハルさん、何か飲みますか?」 「何がありますか?」 「ビールありますよ」 「ビールいただきま~す」 「つまみが欲しいですね」 「トアさん料理できるのですか?」  冷蔵庫のドアをあけて中を確認していたら、ぴょこんとハルさんが横に来た。人様にみせる冷蔵庫じゃないですよ、恥ずかしい。 「魚肉ソーセージのケチャップ炒めができそうです」 「え~食べたことないですよ。そのままムシャムシャはありますけど」 「これが結構いけるのです。ビールがすすむ君、間違いなし!」

ともだちにシェアしよう!