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つづき
ソファに並んで座って缶ビールで乾杯です。ソーセージを勢いよく食べたハルさん、満面の笑み。よかった、お気に召したらしい。
「これ簡単なのに、美味しいですね!次回から魚肉ソーセージを買うことにします」
「ソースで試したらイマイチでした。ケチャップが一番合うみたいです」
ハルさんと中休みみたいなとりとめない話をしながらビールを飲んでソーセージを食べた。
ハルさんは僕よりずっと若いのに、それほど子供に思えないのは色々あったからなのでしょうね。ポツポツと話してくれることが少しずつ増えて、前よりずっとハルさん情報が増えました。それと比例してやっぱりハルさんは皆に可愛がられて笑っていてほしいと強く思います。
ビールが2本空になった頃ハルさんが何となく言いづらそうにボソっと質問。
「お兄さんと仲はいいのですか?」
「兄ですか?10歳違うもので。物心がついたころはとても大人に見えました。親って大人というより「親」じゃないですか。兄は「お兄さん」と言う前に大人でしたね。だからずっと距離があって、差が全然縮まらなくって。思春期の頃兄はもう社会人ですし、よけい自分の子供っぽさが鼻についてイライラしましたね。
子供は子供なのに、なんであんなに背伸びするんでしょう」
「へえ~」
「兄が35歳で結婚して、36歳で男の子ができました。26歳離れた甥っこです。このこが可愛くてね、僕にもよくなついてくれています。遊びにいくとされるタックルが年齢的にきつくなってきました」
「トアさん、そんな顔して、デレデレ叔父さん顔ですよ」
冷蔵庫におかわりのビールをとりにいったついでに、枝豆を皿にもった。冷凍の枝豆は冷蔵庫に保存と決めています。解凍になって常に食べごろ保存状態。
「わ、枝豆だ」
「ソーセージ無くなりましたからね。その皿を殻いれにしちゃいましょう」
ハルさんはコクンとビールを飲んだあと、ちょっとしょんぼりして言いました。
「僕は甥っ子に逢える可能性がありますけど、弟はないってことです」
「ハルさん?僕だって甥っ子は無理じゃないかと」
「いえいえ、まだまだチャンスありますって!エンタメ女子が絶対いますよ!」
「そうかな、いますかね?」
エンタメ女子じゃなくてもいいですよ。僕を好きになってくれるなら(はずかしい……)
「兄が翔に言います。階段はちゃんと手すりをもちなさいとか、危ないから車道側を歩かないで、とか。
それって僕も言われてきたことで、勿論中学生や高校生になったら言われることは変わりましたけど。
親子のやりとりを見て初めて気が付きました。僕のことを想って、心配して言ってくれた沢山の言葉。僕はそれを「子ども扱いされた」とすべてをそう受け止めたわけです。
自分の浅はかさにグワ~~ンとなりまして兄に謝りました。兄は笑って「そんなことはいいさ」ってあっさり言ってくれましてね。色々すっきりして良好な関係です。
ただ翔が、僕の名前をなかなか言えなくて「とっちゃん」って小さい頃言ってまして、それが今も続いています。とっちゃんって30超えて言われるとオッサン言われている気がしますよ。困ったものです」
ハルさんは笑ってくれた。少し気持ちあがってくれたかな?
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