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つづき

「毎日仕事が楽しい。それに食べたり飲んだりは衛が世話を焼いてくれるから心配しなくていいだろ?二人は仲良がいいから喧嘩もしない。そうするとストレスがなくて、いつも満腹で幸せだ。だからストレス解消的な物欲が消えちゃったのかなって。 欲しい物って聞かれても、困るくらいなんだよね」 「なるほど。よくわかる」  おお!ひらめいた! 「クリスマスはどっちみち疲弊していてそれどころではない。年末年始も同じだ。オードブルは作らなくちゃいけないし。俺は実家に帰るから二人で新年を迎えることはない」 「なんだよ、帰るのかよ」 「そりゃあ、帰るだろ。衛も一緒に来るか?」 「え?」 「あ~そっか、一年に一回、両親家庭それぞれにご挨拶があるからそれはできないか」  また脱線。ひらめいたってことを言うんだった。衛はヘラっと締まらない顔をしている。変なの。 「クリスマスも正月も駄目となると次はバレンタインだ。バレンタインといえば俺達にとって大事な記念日だ、そうだろ?」  衛は嫌そうな顔をした。あのヘタレっぷりを思い出したのだろう。なんせ言い掛けたくせに丸投げして帰ろうとしたんだからな。でも「これから行っていいか?」そう言ってくれなければ、今の俺達になるのに、もっと時間がかかっただろう。 「俺達の誕生月と2月のバレンタインデー、この2回をイベントにしてお祝いをすればいい。そしてプレゼントは二人で考えよう。欲しい物、必要な物、あったらいいよね。そういうものを言いあって買うものを決めたらいいんじゃないかな。ネットで取り寄せたり街に買い物にいかなくちゃかもしれないけど。そうやって二人でお祝いすることを決めておけば、コソコソ準備しなくていいじゃないか」 「じゃあ、俺からも提案」 「はい、なんでしょうか、衛君」 「いつ行けるかわからないけど、京都資金の積み立てをしよう。そうだな一人月4000円くらいで」 「積み立て?」  衛はむっくり起き上がった。ソファの上に胡坐をかいて座りなおす。 「プチ連休の日程にタイミングが合うかわからないけど、やっぱり京都は行きたい。この間の温泉はとってもいい時間だったから、泊りがけで1年に1回くらいどこかに理と行きたいんだ」  うわ、こういうこと言われるとさ、フワフワしちゃうじゃない。まったくも~~おお! 「そうだね。4000円ずつ積み立てよう」  照れくさい顔を見られたくないから背を向けてワインを注ごうとデキャンタに手を伸ばしたら、すごい力で後ろに引っ張られた。当然そこには衛がいるわけで、後ろからすっぽりです。むううう。  耳元に唇が寄ってくる。近づいてきている気配にゾワゾワしちゃって、もうやめてくれ!な気分だ。 「俺達とっても仲良しだな」  ボン!顔から火がでた。ジタバタもがく俺を後ろから羽交い絞めにしている衛。その姿が点けていないテレビの画面に映り込んでいることに気がついた俺は頭が沸騰しそうになった。恥ずかしい!!  今度から帰ってきたらまずテレビをつける!俺は固く固く決心した。  あ~恥ずかしい!

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