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つづき
「はい、カット終了。トップからバックにかけてピンパーマかけるから」
「タケさん!」
「なに」
「すっごい前髪パッツンなんですけど!」
「せっかく綺麗なデコしてるんだから、だしたほうがいい。パッツンたって顔の輪郭にそって長さを少しずつ変えているから、女子がよくするパッツンと全然違うだろうが。フェイスラインはストレートを保ちつつトップからバックはパーマをかけて変化をだし、かつスタイリングも楽だ。パーマが落ち着いたらカラーしてもいい。アッシュな色目にすると肌が白いから、そこらにはちょっといない上玉君間違いなし。
ハルはそんくらいしても負けない雰囲気もってるんだから。可愛い可愛いい言ってる女目線のヘアースタイルなんかしちゃ駄目なの、わかった?」
ううう……これまたミネさんみたいじゃないですか?僕はこう言われてしまうと、何故か「はい」と言ってしまうのです。
「……はい」
「素直でよろしい」
ついでにテーマ「松ぼっくり」がどっかに行ったらしく一安心です。
その後はギイさんとの再会(焼け木杭ではないこと、勿論強く言いました)で感じた自分の事をポツポツ話したり、タケさんの「女の子が生まれたら、俺ノイローゼになるかも」と真剣なのか冗談なのかわからない悩みを聞いたりしているうちに無事散髪が終了しました。
「こんな風になるんだ」
「悪くないだろ?」
「スースーするけど、変身したみたいで気持ちいいです」
「よし!んじゃ、撮影するから。あのリースにチュウしてもらう」
「えええ!嫌ですよ!承諾してませんって!」
いい大人のタケさんと断固拒否の僕がワイワイしていたら、理お姉さまが来ました。
「いったい何事?あら、こっちのほうがずっといいね。芯のある感じが見え隠れっていうさじ加減が抜群ね、さすが由樹」
タケさん褒められてデレデレしてる。そうだ!ここは理お姉さまに助けてもらおう。
「クリスマスカードにするから、リースにキスしてる写真を撮るって言うのです。タケさんを止めてくれませんか?紗江さん、お願いします」
「クリスマスカード?」
「そそ、ショップの。メリークリスマス&ハッピーニューイヤーでまとめちゃおうとおもって。年末年始の営業告知をいれて、お世話になりましたってさ。年賀状だと貰う人は沢山あるだろうから埋もれる可能性があるけど、クリスマスカードはそんなに貰わないだろう?」
お姉さまがリースを見て、僕を見て、リースを見てニンマリ。
あああ……もう無理だ。鏡の隅に映り込んでいる飯塚さんは何やら下を向いていて声をかけられる状態ではない。一番止めてくれそうな理さんがここにはいない。
もう諦めるしかないのですね。松ぼっくりを松ぼっくりとして見られない思考回路を植え付けられた僕。
アレにキスしろと?……アレに。
僕の散髪はふか~い深いため息とともに幕を閉じました。
次回飯塚さんの散髪につづく!
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